雑感
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| 2002年01月12日(土) |
10冊の本を選ぶということ |
高村薫の「神の火」に、老スパイと主人公が絶対にかなうはずのない 夢に少しでも現実感を与えようとして、廃業したら欧州のオペラ、 美術館通いをしようと、本当にローマ行きの航空券を手にする場面が あった。さらに旅行に持っていくための本を10冊選ぶように冗談を言う。 10冊選ぶというのは、決して戻ることのない旅を想定し、残り時間も 10冊を丹念に読むだけしか残されていないことを意味する。
今の自分なら何を選ぶかなと思ったが、何度も読み返して退屈しない本 を選ぶのが良策だろうか。 ヘッセを1冊(メルヘンかペーターカーメンチントか)、ケン・フォレット の「大聖堂」、源氏物語、村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド ワンダーランド」、「ねじまき鳥クロニクル」、あとワーグナーの 「ニーベルンゲンの指輪」のテキスト、クラシック事典、ドイツ語の辞書 と古語辞典と国語辞典、英英辞典くらいだろうか。ジョイスの「ユリシーズ」 もいいかも。
結局は読むのに四苦八苦するものが時間つぶしに最適か。 クラシック事典やオペラのテキストは、何とかメロディを思い 出せると思って選んだけれど。
元気でいられる寿命があと30年くらいとして、何冊くらいの本が よめるのだろうか。 普通に勤めていれば、年に100冊の本を読むのはかなりきついだろう。 家事をしながら、インターネットをし、仕事をしていれば、年に50冊 ぐらい、総計で1500冊がやっとといったところかしら。
私の場合は、新しい本に出会う確率が少ないので、これからも同じ本を 繰り返し読み返すことになる。長年のつきあいに堪えうる本を選ぶのは 人に出会うのと同じくらいむずかしい。
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