雑感
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| 2002年01月31日(木) |
ピアソラと玉露と徒然草 |
にせものの春の宵に、ピアソラを聴きながら、玉露を飲んで、「徒然草」 を読んでいるところです。
ギドン・クレ−メルのバイオリンが、もの哀しく部屋を包んでいます。 バイオリンとピアノのデュエットは洗練された音色で少しは救われた気分 になるのですが、ピアソラの音楽を、もしブエノスアイレスの場末の 酒場で、手風琴ひとつの演奏を聴いたとしたら、心の温度はマイナス 5度くらいにまで急降下するかもしれません。
用心のために、玉露で心身暖めつつ、「徒然草」をぱらぱらとめくって います。作者は吉田兼好。日記界のスーパースターといったところで しょうか。インターネットで日記名を検索していますと、徒然草、 つれづれなるままに・・というタイトルの多いこと。13世紀から14 世紀に生きた人ですが、21世紀の世の中で、脚光を浴びるとはついぞ 思わなかったでしょうね。
徒然草の文体は、音にすると格調があって好きですが、兼好のものの 見方は多面的で、厭世的に聞こえます。ある人がこう言った、 こんなことがあったと、ネタが豊富なのは、あの時代にしてすごいなと 思います。「お耳」と呼ばれるような、三面記事になりそうな情報を もってくるレポーターを雇っていたのかもしれませんね。
今宵、琴線に響いた文章は 75段 (引用しても著作権に引っかからない とほっとしますね(笑)
「つれづれわぶる人は、いかなる心ならむ。まぎるるかたなく、ただ ひとりあるのみこそよけれ・・・」
(何もしないでのほほんとするのを、いやがるのはどうしてなんでしょう。 まぎれもなく、一人きりでいるのはいいことだと思うのですが・・)
ということで、今宵は徒然ぶっているところです。 いつもは、落っことしても壊れないような木綿豆腐のようなごつごつ した文体ですが、気分転換に、絹こし豆腐になったつもりで書いています。
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