雑感
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2002年02月06日(水) リプレイを越えて

たまたま自分の人生が、ある年齢のところで、ぷつんと切れて20年ほど
前に戻ってしまったら、そしてそれが何度も繰り返して起こったら、・・


生きていくのがいやになるでしょうね。

ケン・グリムウッドの「リプレイ」を読んで、こんなにつらい人生を
主人公はよくやっていく勇気があるなと感動しました。
この小説は、昔、友人から譲り受けたものです。ドイツ語版の翻訳もあり
何年かに一度は読み返しています。

主人公は未来に起こることを知っているので、ダービーで当てたり、
必ず値上がりする株を買って、大金持ちになりますが、人生が無意味
なものに感じられます。

小さな予定未来の改変をもくろんでも大筋では変わりませんでした。
各々の人生で、愛すべき妻や娘、友人がいればいるほど、つらくなって
いきます。自分はある時点で必ず発作が起きて、消えてしまうからです。

過去に舞い戻って、若々しい肉体を取り返しても、前の人生で得たものは
失われています。主人公が、最後に、やっと不思議なリプレイの
パターンから抜け出て、新たな気持ちで人生をやり直していこうとする
姿勢にほっとしたものを感じました。

リプレイというのは、レコードの壊れた溝が同じ箇所を回転するように、
いびつなパターンですが、ターンテーブルの上に何度も針を置くように、
人は人生を繰り返しているのかもしれないなと思いました。ただ記憶が
ないだけなのではと。

ブライアン・ワイスの著作「前世療法」や「魂の伴侶」を読むと、
人の無意識の奥深く、前世の記憶が残っていると書かれてあります。
ある女性が、カウンセリングのときに、2000年くらい前からの人生
をことごとく語っていくさまは、とても興味深いものでした。

過去の人生の記憶というものは、生きていく上で、邪魔になるのかも
しれません。だから、あえて過去のデータを消去して、新たに生きていける
ように自然のシステムができているのかなと思うのです。
でも、その記憶というものは、完全に失われたのではなく、方法によって
は取り出すことも可能で、まさにパソコン本体みたいですね。人間の
脳というものは。

明日何が起こるか自分は知りません。でも、いい方向に向かっている
と信じていれば、何とかなるかしらと、花屋の雪のようなシクラメンを
眺めて思いました。


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