雑感
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2002年05月14日(火) 無料自転車の悲劇

5月始めよりウィーンに無料自転車1500台が設置された。
利用者は専用の自転車置き場から2ユーロを鍵に差込むといつでも
誰でも使える。
専用の駐輪場所は200箇所以上あるそうだが、この自転車、乗ってる
人を見たことはあるけれど、駐輪場に留まっているのをみるのは珍しい。

でも最近、ピンクや青の鮮やかな色の自転車が駐輪場にぽつんと置いて
あるのが目に付く。よく見ると前輪が盗まれて無残な姿をさらしている。
新品の自転車が留まっているなと近寄ると、誰かが自分のチェーンを
かけっぱなしにして誰も使えない。

この自転車は一般市民や観光客のためにあるのに、私的に独占して
いる人、盗む人たちが後を絶たないのはなんだかなあと思う。

日本に住んでいたときは、日本の公共道徳のなさがしょっちゅう
新聞や雑誌で取り上げられていた。でも、滞欧15年、あちこちを
旅したが公共の場所で日本の大都市と同じくらいきれいなところって
スイスとドイツくらいしか思い出せない。

ウィーンの街も観光区域以外はあまりきれいとはいいがたく、歩くと
きは下を注意しないと悲惨な結果となる。たばこの吸殻も消さずに
投げ捨ては日常茶飯事。公共道徳という点ではお寒い事情である。

この国は総じて納税意識が高いと思う。納税しているのだから、
公共のもの(道路や↑の自転車)に損害を与えても税でまかなって
当然という意識もあることは否めない。
飼い犬に平気で店の前で用をさせている飼主はペット税を払って
いるのだからいいじゃないかと言ったそうだ。

納税は国民の義務だけれど、それ以上にこの国では権利を感じさせる
なと前輪のない自転車をみてため息をついた。


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