雑感
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2002年05月20日(月) The art of loving

本棚の大蔵ざらえをやっていたら、エッリヒ・フロムの
"The Art of Loving"を見つけた。薄紅色の装丁がまだ真新しく
四隅もきれいにとがっている。
最初、私の本だと思っったが、自分の部屋で見つけたわけではなく、
当時中学生の少年の本棚からだったので、パートナーに聞いた。
「ねえ、この本こんなところにあったのよ。私の本棚から拝借したのかな?」
「それは、僕が彼に読むように贈ったんだ。いい本だから読むようにって・・」

ページを切った跡がなく、どうやら一度も少年の興味を引かなかった
らしい。
彼の語学力ではまだむずかしいだろうし、それに反抗期だった・・

2,3週間前、私の本棚の隅っこから、「おひさです!」という具合に
何年ぶりかで"Die Kunst des Liebens"を見つけたばかりだったので、
同じタイトルの本が出てくるのは天のどこからか読むようにと言われた
ような気がした。

邦題の「愛するということ」も本棚にあった。
あの当時、いろんなことが重なって家族というまとまりが、ぎくしゃく
しているときに、同じタイトルの本をそれぞれが持っていたというのが
おもしろい。
「愛することは技術である」と序文にある。これを読んで目から鱗が
落ちたという人はきっと何百万人もいたのではないかしら。
愛というものが、天然もので養殖なんて絶対無理だと思っていた人たち
には、頭をかなづちで叩かれたようなインパクトがあったはず。
技術は学ぶことができる。対象への時間と熱意の投資はもちろん
必要だけれど。

大蔵ざらえは結局、若干の書物を処分するだけで、そのまま手狭な
引越し先に移動することになりそうだ。



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