ぶつぶつ日記
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2001年12月05日(水) アラファト後のパレスチナ

ニュースでPLOのアラファト議長を眼にする度に、
なんとも言えない気持ちになる。
すでに国をまとめる力のない、発言力のなくなってしまった指導者。
しかし、「全て」が彼に肩に重くのしかかっている。
病気の体に鞭をうち、気力だけで、
そして生き続けなくてはならない。

新聞の「これまでの経過」を見ていると、
なんとイスラエル寄り(アメリカ寄り?)かと思う。
載っているのはパレスチナ側からのテロで死傷した人たちのことだけ。
2週間前に5人の10歳前後の子供達が
イスラエルの戦車により死亡したことなど、どこにも載っていない。
一体、いつまで「テロにさらされるいたいけなイスラエル」を
強調すれば気が済むのだろうか。
そして、どうしてマスコミはそういう視点しかもてないのだろうか。

現在のパレスチナに対する激しい攻撃は
確かにイスラエル国民の世相をバックにしたものだろう。
度重なるテロ、高い失業率など、
全てをパレスチナの責任にした方が、
それはイスラエル国民にとっては楽なことだ。
「自分たちは、悪くない。」、誰もがそう考えたい。
しかし、原因が全て相手に帰すことなど、ありえないことだ。

アラファトをパレスチナの代表からはずすことは、
アメリカの力をしたらもっと前に出来たはずだ。
しかし、アラファト以外の誰が、「和平交渉」のテーブルにつけただろう、
いや、ついただろうか。
アメリカもそのことはわかっている。
だから今もアラファトがパレスチナの代表なのだ。
今回の攻撃は、シャロンがアラファトの威信を粉々にし、
パレスチナ自治政府の瓦解をもくろんでいるためとも言われている。
しかし、前首相のラビンがアラファトを代表とした自治政府との
交渉を続けることをシャロンに要請しているのは、
ラビンが、アラファト後のパレスチナのビジョンを見ているからだと思う。

確かにアラファト後のパレスチナ自治政府は、
イスラエルの力を借りなくても、内部紛争で瓦解していくだろう。
パレスチナ人を、1つにまとめることはどのグループにも出来ないだろう。
しかし、それはパレスチナ人の消滅を意味しない。
彼らは、ますます先鋭化する。
見境のない、絶望的なテロがますます増えていくだろう。
イスラエル軍がパレスチナ人を殺しつづけても、
彼らは新たに生まれてくる。
出口のない、絶望的な戦いを続けるためだけに。


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