ぶつぶつ日記
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2001年12月07日(金) 帰れない子供たち

久々に時間のある週末なので,
DVDを借りて帰ってきた。
今晩見たのは、「ザ・カップ、夢のアンテナ」と言う映画で,
監督はチベット仏教の高僧、
出演しているのも、本物の小僧さんたちだそうだ。
インドで亡命生活をしている若い僧たちも、
ワールドカップが大好きで,
その決勝戦を見ようと、四苦八苦するというストーリー。
チベット仏教の僧院の、柔らかな布を使ったインテリアが
とてもおしゃれで、僧の僧服も目を引いた。

チベットに帰るためにいつも荷物の準備をしている修道院長、
その下で憎まれ役になっている教育係の先生,
変わり者で占いをする古参の僧、
一癖もふた癖もある兄僧たちに負けない、
すっかり僧院になじんでいる小生意気な主人公のいる寺に、
中国からまだ若い叔父と、幼い甥が密入国してくる。
その子がもう2度と会えないかもしれない母親の思い出に持っている
懐中時計を、主人公はアンテナを借りる代金の質草に入れるが、
時計を取り上げられ、悲しむ新しい同門の兄弟を見て、
主人公の少年僧は、あれだけ楽しみにしていた試合も上の空。
試合の途中で抜け出し,
真新しい(多分一度も履いたことのない)スパイクと、
母の形見の短剣を売りに行こうとする。
いつもは厳しい教育係の先生が、その頭をなで
「商売が下手だな、でも良い僧になる。」と言うと,
その子はちょっと恥ずかしそうに、
そしてうれしそうに笑った。

ビックリするのは,その映画が1998年を舞台にしているのに、
チベットから中国政府の目をかすめて、
僧院に子供を逃がす親がいると言う事実だろう。
チベット問題に関しては中国は内政干渉という姿勢を崩さないが、
漢民族のチベット移住も増えているそうだ。
チベットを知らず、インド人ともインド人の言葉で
渡りあう若い僧たちはしかし、
インドがあくまで仮の宿でしかないと思っている。
帰れないかもしれない。
でも、ここは自分たちの終の棲家ではない・・・。
ここにもまた、国の狭間で漂う「帰れない子供たち」が、
存在している。


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