ぶつぶつ日記
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昨日はイスラム原理主義(かも、と自ら言っている(笑い))の 日本人ムスリマの友だちと会いました。 彼女とは、イスラム的な知識量が同じくらいで (近いうちに完全に追い越されると思いますが) ムスリマと非ムスリマなのに、イスラム観みたいなものがとても近く、 話していてとても面白い。 ちょうどラマダン時期にカイロに滞在していて、 すっかりヘジャーブが板についており、 昨日も可愛らしいサーモンピンクのヘジャーブ姿だった。
日本人ムスリマの間でムスリマの誰かを評価する時、 すぐに取りだたされるのがこのヘジャーブ(スカーフ姿)。 しているしていないで、ムスリマとしての姿勢が問われるって感じだろうか。
エジプトでは最近、とみにこのヘジャーブ姿のお嬢さんが多くなった。 しかし、彼女たちのムスリムとしての姿勢はどうかと考えると、 別にヘジャーブはあまりそれをはかる目安にならないような気がする。 カジュアル・ヘジャーブという感じで、 前髪を出したり、ぴったりとしたパンツとあわせているような子も多いからだ。
ある程度の知的なムスリマ女性には、 「自分はまだ、ヘジャーブをするほどにはなっていない。」 という謙虚な気持ちを持っている人もいることを、ご存知だろうか? 彼女たちはヘジャーブに憧れを持っているが、 ヘジャーブをかぶるだけの内容がまだ自分にはない、 早くヘジャーブと自分自身がつりあうような人間になりたい、 そう聞かされたことが何回かある。 先日会った友人には今度アズハル大学で教鞭を取る話が持ち上がっていた。 彼女もヘジャーブをしていない。 そして上記のように思っている女性の1人である。 アズハルに入るのに、ヘジャーブは必須だと思っていたら、 彼女が聞いた話では、門を入る時には必要だが中では脱いでも良いらしい、とのこと。 アズハルで、それでいいの?と私たちは大笑いをした。
ヘジャーブに対するクルアーンやハディースの解釈は様々だ。 はっきりとヘジャーブをしなさい、とか、 ニカーブ(目だけを出したあの真っ黒尽くめベール、ブルカもこれの一種)をしなければならないとか、 はっきり書いてあるわけではない。 「長衣を身に着けなさい。」とか 「男も(!)女も恥ずかしい部分は見せないように。」とか 確かその程度の記述だったはずだ。 だからこそ、その国々、人々によって解釈が違ってくるのは仕方ない。
またアフガンのブルカ、サウジやイランのアバヤ着用が 人権侵害かどうかよく取り上げられるが、 私個人の意見としては、国なりがそれを着る事を強制するのは、 やはり人権侵害ではないかなという気がする。
そして人権侵害といえば、フランスなどで問題になったように、 ヘジャーブを身につけたいと思う女性から 誰かが無理やりにヘジャーブを奪うこともまた、 重大な人権侵害だ。
身につけるか、つけないか。 それは国や回りが決めることではなく、 本人が決めるべき問題だと思う。 ヘジャーブを身につたいと思い、それができる環境なら、 日本だろうがどこだろうが、どんどん身につければいいと思う。 しかしそれぞれの事情でヘジャーブを身につけぬ人を、 糾弾したり、それだけで良いムスリマではない、と決めるけるのは あまりにも短絡的過ぎると思う。 そしてヘジャーブを身につけているから仕事に採用されない、 それは差別であると言うのなら、戦っていけばいいと思う。
しかし、考えてみれば、普通の会社の営業マンが 背広は着たくない、ジーンズでお得意周りをしたい、 背広を着ろというのは人権侵害だ、と言い出したら それはその人が会社にあわないという事で、 会社が考えると言うよりは、今後その会社で働きたいのかどうか、 その人自身が考えなくてはいけない問題のように、 社会生活をしていく上では、 どうしても譲歩しなくてはいけない部分もあるんじゃないかと思う。 少なくともエジプトですら、ホテルのフロントで働く女性に ヘジャーブ姿はほとんど見られないし、 ニカーブの女性は職探しがかなり難しいようだ。
まだ何の実績もあげていない情況から、 ヘジャーブを許可しろ、礼拝をさせろ、 そうじゃなくては宗教差別だ、 と言うのは、あまりにも子供の理論のような気もする。 入って1週間でいきなり10日間の有給休暇が許可されないのと、 根本は同じ気がするのは、 それは私が非ムスリマだからだろうか。 職種によっては絶対に無理な場所もあるだろうかが、 人間関係さえきちんと築いて評価されていれば、 すんなりヘジャーブを許可してくれる会社も、 案外あるんじゃないかと思う。 そしてもし周りにそう言う人がいたら、 見かけではなくその人自身と向き合って付き合っていきたいと思う。 そして彼女はどんな時でもヘジャーブをかぶって生活したり働いたりできるように、 支援してあげたいと思う。
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