永久という名の瞬間
2004年04月16日(金) 身を切られた瞬間は、痛みを感じない

 背筋を伸ばして。
 いつも道化役で。
 生活態度は優良。
 とりあえず大抵は笑っている。

 そんな姿を晒していた高校時代。
「時音は、たとえ地球が崩壊しても生き残っている感じがする」
 友達にはそう言われた。
 図太いと思われていたらしい。 
 当時の友達の大半は、私は心身ともに健康優良児だと思っていて、それが卒業した今も続いていて、私は日本のどこかで楽しく暮らしていると思っているみたい。
 私は病気とはいえないかもしれないけれど、当時も今も、万年風邪ッぴきのようなものなんですけどね。
 まぁ、とりあえず完璧な演技をできてたんだな、と、当時の自分が誇らしい。・・・現在は演技も出来ないダメ人間ですが。

 私は今、どうしようもない痛みを感じている。
 どうやら外面を良くする事は、私の心を痛ませる。
 だけど痛みを感じるという現象は、あの頃よりは状態は良くなっている証明。
 身を切られた瞬間は、痛みを感じないように、いつだって一番辛いときは自分の痛みに気付かないもの。・・・少なくとも私はそうで。
 もちろん後で痛がるけど。

 いじめられていた中学時代、下校途中に校門に挟まれて、指の皮が飛んだ。
 あまりに突然に校門がしまってきたので、驚きはしたけれど全然痛くなかった。血はじわじわ噴出してきたわりに、痛くなかった。
 悔しいとか、理不尽さに怒る気持ちが強く、少なくとも校門を閉じてきた輩に痛がる姿は見せたくなくて、指の痛みを無視するよう努めたせいかもしれない。
 それなのに、いまだ冬場など、手が凍えると、疼く。
 あのとき、こんなに痛かったっけ?と思うくらいに、執拗に響く。

 このタイムラグが、正直辛い。
 原因がわかっても、それを改善する方法がないから。
 痛みを痛いと感じる神経は、完全に機能不全になるか、時差をなくすかのどちらかにして欲しい。
 あのとき無理に笑わなければよかった、なんて、後悔したくない。

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photo by 東雲