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2001年10月23日(火) ■ |
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Mr.Happy |
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先日見たプロ野球のバラエティー番組で、新庄選手についたキャッチフレーズが「Mr.Happy」だった。努力とか根性とかいう言葉とはかけ離れた彼の言動と活躍には、まさにこの言葉がピッタリなのかもしれない。「おめでたい男」はたまた「幸せにしてくれる男」。彼を見ていると、純粋に野球の「楽しい部分」しか見えてこない。球界が抱えている様々な問題、不景気、物騒な世の中…。そんな中、明るさと笑いと希望をくれる。彼がいるかぎり、世界は平和だ。そんな気にすらさせてくれる。このキャッチフレーズをつけた番組の制作者はすばらしいセンスの持ち主だと思った。
さて、今日日本シリーズ第三戦を見ていて、もう一人、この「Mr.Happy」が当てはまる選手を見つけた。ヤクルトスワローズ・河端龍投手がその人だ。 河端投手について話すと、こんな感じになる。 1976年11月10日生まれの24歳。京都府城陽市の出身で、西城陽高校3年夏に京都代表として、甲子園に出場(初戦敗退)。龍谷大学に進学し、4年春に神宮大会出場。その年の秋にドラフト5位指名で、ヤクルトに入団。1年目は数試合の登板があったが、2年目は故障のため活躍できず。3年目の今季、中継ぎとして、プロ初勝利を納めている。今シリーズ1戦目で日本シリーズ初登板。 173センチというピッチャーにしては小柄な選手だが、小気味いい投球と肩が出来る早さがウリ。中継ぎにうってつけだ。今日は、ヤクルト楽勝ムードの9回に登板。近鉄の4番・中村選手らを抑え、ナインと勝利の握手を交わした。 方々のマスコミが彼の人の良さを報じる。顔を見ていてもその雰囲気が伝わってくる。今日もナインやベンチの選手が迎えてくれたが、そのまなざし温かいものだったように見てとれた。 実のところ、私は河端投手に入団当初から注目をしていた。別に「将来エースになるかも」とかそういう意味でなない。たた単に、出身地が京都であること、年が近いこと。そして、出身大学が一緒であること。それだけだった。しかし、見ていくうちにそれ以外の愛着を感じつつあった。 テロップに出ていた同選手を紹介するワンフレーズ。 「戸田から電車通勤」 ― 惚れたぞ、河端! テロップが事実であるか否かはこの際、おいておく。彼の電車通勤の姿が想像できて、それがまたあまりにはまり過ぎている。高級車を乗り回すのもプロの醍醐味だとは思う。でも、そんな中に一人くらい電車通勤している選手が奮闘していたっていいし、おもしろいじゃないかと思う。「電車通勤が似合う」とか「面白い」とか言って、本人には失礼きわまりない発言かもしれない。でも、あくまで好感をもっての発言なので許して欲しい。神宮球場のカクテル光線の中、高校球児のようなあどけなくて凛とした表情の彼は地味ながら異彩を放ち、私はそれを見て、「幸せだなあ」と感じた。
こうして書いていると、新庄選手と河端投手はほぼ正反対の位置にある選手だと言っていい。でも、私にとっては共に「Mr.Happy」なのだ。 新庄選手から受ける幸せは、スリル抜群のジェットコースターや派手なクリスマスパーティー。河端投手から感じる幸せは、よく晴れた日曜日の昼下がりに河川敷なんかで手作りのおにぎりをほうばったり、のんびりひなたぼっこしているミニピクニック、あるいは冬にこたつ入ってみかんを食べているときのような感覚にも似ている。 幸せのかたちなんて一つやないねんなあ。 今日の第三戦を見て、呑気にそんなことを考えていた。
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