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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2001年11月09日(金)
巨人ファンの友人


 2,3年前、急に「野球を語りたい」という思いに目覚め、文通を始めた。しかし、一時は10数人いたペンフレンドも今や5本の指で足りるほどの人数に減ってしまった(それも返事が遅れ気味、みなさんごめんなさい!)。

 私はこの文通生活を通して、「同じ野球が好きと言っても好きにも種類があるんだな」ということに気付いた。野球という共通のものを好きなんだから、好きな球団とか一緒だった尚更話は盛り上がれる、そう思い込んでいた。

 しかし、今も文通が続いている人の好きな球団を見て見ると、私と同じ「阪神」という人がほとんどいない。ま、私が自虐的阪神ファンということもあり、純粋無垢に応援されている方には敬遠されるのは病む終えないかなと今になっては思うのだが。

 阪神ファン=アンチ巨人。
 そんな私の一番気の合う文通相手が、実は巨人ファン。2,3回お会いしたこともあり、私の中では文通相手というより、友人だ。
 生粋の西宮っ子である虎キチの相方は、「そんなヤツ、やめとけ」と言う。しかし、彼はただの巨人ファンではない。

 高校野球も大学野球も社会人野球も熱心に見る。(私が社会人野球を見始めたのもこの方の影響が大きいです)年に2,3回地元で開催されるパ・リーグの試合にもきちんと足を運ぶ。巨人の現体制をしっかり批判する。「野球は勝てばいいってもんじゃないんですよ」と話してくれる。

 それでいて、「長嶋さんは特別ですよ」と言ってこちらを拍子抜けにさせる。でも、何かにつけて出版された長嶋監督関連の本をむやみに買うことはしない。ちゃんと内容を見極めてから買う。「僕の中にある長嶋さん像を大事にしたいんですと」という彼のポリシーは、私も持っておきたいと思わせるものだった。

 彼と出会うまで、巨人という球団と同時に巨人ファンも嫌いだった。どんなに好きな芸能人や友人でも、その人が巨人ファンだといえば、すっと冷めてしまっていたのだ。

 マスコミに毒されてたのかもしれない。
 巨人ファンは、「野球が好きなのではなく、勝つことが好きなんだ」という評判がざまざまなメディアで下されている。実際そういう人が周りにもいる。だから、私はそう思っていた。いや、思いこんでいたかったのかもしれない。嫌いな球団に良心的なファンがいるとは思いたくなかった。まったく独裁的な傲慢な考え方である。彼からそれを教わった。

 しかし、先日の手紙で「僕、巨人ファンを辞めたんですよ」とあった。
 阪神ファンである私としては、喜ぶべきことだったのかもしれない。しかし、何故か心配の方が先に立った。

 何か重大のことがあったのか?
 それとも、球団の方針のしびれを切らせたのか?
 長嶋監督が辞めたから?
 いろんな憶測が脳裏を飛び交った。

 続きの文章を読んだ。
「理由は…ただ何となくです」

 ああ、これが一番救われない。
 ふとそう思った。
 巨人は惜しいファンを失くしたなと思う。
 
 いや、ただ何となく。