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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2001年11月16日(金)
裸の王様


 今日テレビで「プロ野球・珍プレー好プレー」が放送された。以前ほど熱心には見なくなったが、オフのこの時期には貴重な野球ものであるため、わりと重宝している方だ。

 スタジオにはいろんなゲストが呼ばれる。中には明らかに野球を知らなさそうなアイドル系の女性タレントもいる。今回は某グラビア系アイドルがゲストだったのだが、彼女がふとこう言った。

 「野球って、コンクリートの上でやっているんだと思っていました…」

 彼女の発言はスタジオでは失笑を買っていたが、私は純粋に「そうやん、コンクリートやんか」と思って、妙に納得してしまった。

 野球を知らない人をバカにしてはいけない。野球を知らないからこそ見えてくるものがあるからだ。

 2年前に私は球場内に入る機会があった。場所は、川崎球場。あの10・19の舞台として有名な場所。別名「川崎劇場」。

 この球場が取り壊されるにおいて、球場を愛した人がボランティアとして集いさよならイベントが行われた。そのときのイベントの一貫として、私たち一般人も球場内に入ることが出来たのだ。

 とりあえず塁間を走ってみた。普通の道路の上を走るのとそれほど感覚は変わらなかった。冗談でヘッドスライディングでもしようかなと思っていたが、とてもそんな気にはなれなかった。

 東京ドームや神宮球場、福岡ドームなどが川崎球場と同じとは思っていない。しかし、間近で人工芝を見る機会なんて普通に人にはそうそうない。だから、テレビや遠くから見たイメージが人工芝のすべてだ。外野観戦派の私は、人工芝を見て、芝であるという実感はない。どうしてもコンクリートを緑に塗ってあるように見えて仕方ないのだ。

 内野手が人工芝の上で足をとられて不自然にこけ、ボールを取り逃がす…。
 なんとも思わず放送している珍プレーなんだろうけど、その多く、全部に近いほどのものが人工芝の球場(ドーム)で起こっている。川崎球場で踏みしめた感覚を思い出すと、笑うに笑えないのだ。

 人工芝には人工芝のメリットがある。安易に天然芝への転換がはかれない事情もあるだろう。でも、あれを「芝」と呼ぶのに抵抗があるのは私だけではないはずだ。でも、何故か人工芝と呼んでいる。それは多少なりとも野球に対する知識があるからかもしれない。だから、それを基準に物を考えるようになる。ようするに固定概念。

 知識のない人はそれをすっ飛ばして直接的な言葉を口にする。前述したグラビアアイドルの言葉はある意味真実だ。

 ふと、童話「裸の王様」を思い出した。