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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2001年11月21日(水)
如水館高校の1件に思う。

 今朝、新聞を見ていたらこんな記事を発見した。

 「広島・如水館高校活動自粛」

 思わず記事に食いついた。少し前に仙台育英高校野球部も活動自粛という報道があった。如水館は注目している学校の一つであり、好感を持ってみていた。前述した仙台育英は、来年度の新入部員は取らないとも言われている。果たして、如水館もそうなるのか?!

 すでにご存じの方も多いと思うので、簡単な説明だけ。

 9月頃、上級生3人が下級生を呼びだし、態度が悪いと暴力を振るったり、また「カンパ」として下級生に金銭を要求した。
 学校側は、金銭を要求した部員を退部させ、残りの二人に練習への参加を禁じた。また、10月から対外試合を自粛しているという。

 私が今回注目したのは、学校側の対応である。多くの学校が不祥事をもみ消そうとする中、早い時期に自主申告していることもあるのだが、「部員を退部させる」という即決的な方法にただ驚いた。

 今回の処置に異論を唱える方もいると思う。高校野球は教育の一環だ。だから、加害者である部員をも更正させるのが部もとい学校としても役割なのではないか、と。私の考えも実はそうなのだ。

 しかし、今回は新聞を前にその反論の声をぐっと飲み込んでしまった。何故なんだろう。

 2,3年前だったか、プロ野球界で脱税した選手が相次いだ年があった。中には懲役だ執行猶予だと言われるほどひどいものもあった。そんなときに「罪は野球で償って欲しい」と書いた報道も少なくなかった。私も最初はそう思った。一般人が同じことをしたら間違いなく職を失う。しかし、彼らは特殊能力のため、職を追われなくれも済んだのだ。だから、働ける喜びと感謝でもってひたむきに野球に励んで欲しい、と。

 ある雑誌のコラムを読んだとき、こんな一文があった。
 「野球で罪を償うと言うが、それとこれ(脱税)は別問題である。罪は罪として、償っていただきたい。そんなもののために野球を使わないで欲しい」

 当たり前といえば、当たり前かもしれない。しかし、私の中に衝撃が走った。危うく何かを見失うところだったと額の汗を拭きたいような心境になった。

 
 下級生に暴力を振るうことも、金銭を要求したことも立派な犯罪なのだ。いい悪いの分別がついているであろう17歳という年齢。手厳しさも必要なのかもしれないなと思った。

 夢であった甲子園を目指すことすら許されなくなったことにより、自分がどれだけのことをしたのか、その罪の重さをかみしめて、反省して欲しい。たとえ、それが学校側の都合のいいエゴ対処だとしても、それを真摯に受け止めて欲しいと思う。(渦中の部員の実力は知らないが、主力選手とそうでない選手で対応が違っていたら、それはそれで腹が立つだろうけど)

 少年の人生は始まったばかり。無責任な言い方かもしれないが、高校野球だけが野球の全てではない。


 追伸:日記内で、「たとえ、それが学校側の都合のいいエゴ対処だとしても」と書いたが、部員が自主退部という形ではなく、退部させたことを世間に公開することはそうそう出来ることでなないと思う。世間体を考え、自主退学を勧める学校なんてざらにある。また社会に出ても会社によって同様のことが為されている。
 「強制処分」はリスクを背負い、世間の矢面に立たされる可能性が大きいのだ。だから、今回の同校の対処は単なる「エゴ」ではなかったことを信じたい。