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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2001年11月28日(水)
大阪を元気にするために 〜エキストラ体験記〜


 今日、甲子園に行って、すでにファンの間で話題になっている「MR.ROOKIE」のエキストラをしてきました。人生初のエキストラ体験です。

 映画「MR.ROOKIE」は、長嶋一茂氏主演の野球もの。長嶋一茂氏の演じる「ミスタールーキー」は、昼はビール会社の営業マン、夜はプロ野球選手という「パートタイム覆面プロ野球選手」。阪神タイガースの抑えのエースで、彼の活躍によって阪神が優勝を遂げるという文字通り「夢物語」(それは言わない約束でしょ(^^;))。

 入り口でオリジナルストラップとカイロ1枚をもらい、バックネット裏で待機。グランドをこんなに近くから見るのは初めてだった。ナイターの灯りがやけにまぶしい。

 映画のロケシーンを初めてみた。思った以上に静かな雰囲気のなか、撮影は進んでいった。長嶋一茂氏を生で(それもかなり近い距離)で見た。最初は、誰かわからなかった(近すぎて?)。最前列を陣取るエキストラのヌシと化したコテコテ大阪人のおばちゃんと世間話をしていた。

 エキストラはざっと400人程度いたように思う。子供から年輩の方まで、ほぼまんべんなく人が集まっていた。

 すぐ近くにいたおっちゃんは、野村監督とウリ二つだった。元々「NOMURA」と書いたユニフォームを着ていたし、顔や腹の出具合、声までそっくりでびっくりした。他のエキストラからは「監督、監督」と声をかけられ、握手や写真撮影をお願いされていた。当の本人さんの「最下位ばっかりで、恥ずかしいわ」と言ってなりきっていたところがなかなか笑わせてくれる。

 撮影シーンは、優勝決定戦でのひとこま。
 助監督の若い男性から撮影内容の説明と指示を受ける。

 しかし、困ったことに私は「優勝」を知らない。
 優勝が決まるというときの観客の興奮ってどんな感じなんだろう。演じようがない。ま、いいわ、とりあえずテンションを上げとこ。

 映画によりリアリティーを出すためか、プレーは成功するまでやる。たとえば、三振を取るシーンなら三振が取れるまでやる。ボール球になったら、観客から「しっかり投げろよ、一茂ぇ〜」というヤジが飛ぶ。

 また、大変だったのが、二塁打を打たれるシーンの撮影。狙っての三振やホームランより、実はこの二塁打を狙って打つ方が難しいのでは?とすら思った。ストライクが入らなかったり、外野フライになったり、シングルヒットで終わったり…。あまりにも惜しい当たりには、「CGで加工しろや〜」の声があがった。「頑張れ西田〜(二塁打を打つ選手の名前)」「頼む、打ってくれ」という異様な声援が送られた(下手するとこういうときの方が本番よりいい感じの絵が取れるように思ったのは私だけだろうか)。

 二塁打が出たときに、ほっとして喜ばないよう、気を引き締めてマウンドを見守った。撮影開始から20分が過ぎたところでようやく二塁打が出た。わたしらエキストラが集中力を保つのも大変だったけれど、それ以上にピッチャーやバッターは大変だったと思う。そして、寒い中ずっと半袖でいた主審役の方も。

 夜9時が過ぎたころ、一塁側のイエローシートに移動して優勝の瞬間の撮影が行われた。

 イエローシート。コネでもない限りまず行けないところ。でも、実際座ってみて、それほどいい席でもないことが発覚した。

 優勝が決まった瞬間。ファンが一斉に紙テープを投げ入れるシーンの撮影。残念ながら、私は紙テープを戴けなかったので、声援のみの参加となった。その上、紙テープの芯がもろお尻に当たって痛かった。とんだ災難だ。

 最初は「どうなるのかなあ」と不安になったが、いつも外野で仕切っている黄色いジャージの私設応援団のおっちゃんが来てからは、それなりにまとまり、元気も出てきた。

 鳴り物応援や応援団のあり方のついては、批判非難の意見等も少なくない。しかし、間違いなく日本のプロ野球を支えてきた功労者に数えられるし、カリスマもある。

 終盤は、助監督が「静かにしてください」と何度となく注意するまでのやかましい団体になった。

 最後は、六甲おろしの合唱で撮影が締められた。今日は特に19日にわたる甲子園撮影最終日とあって、今まで参加していたエキストラたちは名残惜しそうに球場を後にしていった。

 甲子園は寒かった。
 途中でおばあちゃんみたいに膝が痛くなった。本当なら、この気候の中、半袖(夏のシーンであるため)撮影だと聞いていたが、今日は上着を脱ぐように指示されたことはなかった。おそらく、半袖シーンは撮影済みなんだろう。
 よかった、最終日で♪

 撮影中、とにかく待ち時間が多かった。撮影って、待つことが仕事と言っても過言ではないかもしれない(カメラさんや道具をセットする人はかなりハードそうだったけど)。

 実は、このエキストラは、ボランティアだ。ケチと言えばある意味大阪らしいとも言えなくもないのだが、前述した通り、多くの人が集まった。

 すぐ後ろに、黄色いシャツに「119」(ミスタールーキーの背番号)というアップリケをつけた気合いに入ったおばちゃんがいた。

 おばちゃんが言った。
 「この映画は大阪を元気にするためにやるんや。せやから、ちょっとでも参加しないとね」。

 私も、そんな元気の素のほんのほんの一部分になれるとこを誇りに思う。

 阪神の元気は、大阪の元気だ。
 野球って、スポーツって、本当にすごい。


追伸:「MR.ROOKIE」は、来春上映予定です。ごく低い低い可能性で私が映ってるかも…??