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| 2001年12月13日(木) ■ |
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| まだ16歳だもの。 |
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晩、友人と電話していると、「大阪桐蔭の事件、知ってる?」と訊かれた。知らなかった。でも、決していい話ではないのだろうなとは思った。
受話器を置いてからすぐに、朝刊を広げた。その記事は、紙面の下段にあった。残念な事件だ。
(以下、京都新聞12/13朝刊より抜粋)
「先輩暴行、と救済申し立て 〜大阪桐蔭高野球部員〜」
大阪桐蔭高校(大阪府大東市)の野球部で先輩部員から暴力を受けたなどとして、1年生生徒(16)が12日、事実の調査や同校側に警告を行うよう求める人権侵害救済を大阪弁護士会に申し立てた。
申立書によると、生徒は今年4月、推薦入学で同校に入学(中略)同級生1人とともに2年生の4人から呼び出され、けられたり、バットで殴られるなどの暴行を受けた。
生徒は近く退学する予定で、民事訴訟も検討しているという。(後略)
PL学園、仙台育英…名門と呼ばれる学校での相次ぐ不祥事で、正直、衝撃は麻痺している。しかし、やはり心は痛む。
夢を持って野球部に入ってきたのに、野球と関係ない理由で野球を辞めなければならない無念さや心身についた傷は、私などでは想像を絶する。
それでなくても、競技人口が減っている野球。特にこれからを担う若い層のプレーヤーやファンは重宝されるべき存在だ。なのに、またこれで、野球から心が離れる子を産むのかと思うと、自身の無力さにため息が出る。
野球部という同じ目標を抱いて共にあるはずの仲間同士が、法律を挟んで対立し、訴える訴えないだの言う。とても悲しいことではある。でも、ことの深刻さはそこまできている。私個人は、もうそういう感情を断ち切ろうと考えている。
悪いものは悪い。暴力は犯罪だ。泣き寝入りする必要なんて何もない。今後、こういうケースはますます増えるだろう。PLのあの事件以来、何かが少しずつ動き始めているように思う。それは、本来、選手を守るべき人がやるべきことなのに、結局、痛い目に遭った選手が自らリスクを背負ってしまう状態。たとえ、これで高校野球界から暴力が減ったとしても、それは根本的解決にはならないように思う。
ただ、訴えるにしても何にしても、何故退部や退学のリスクを背負わねばならないのだろうか、と思う。もちろん、選手自身に意志で「もう野球はやりたくない」と思っているのかもしれないし、また、身体的にプレーの続行が不可能である場合もあるのだが、きっと本当は「野球を続けたい」と思っている生徒は少なくないと思う。それが、たまらなく歯痒い。
同校にはおそらく厳しい処分が下ると思う。夏の大会の出場も危ういかもしれない。以前の私なら、ここで「せっかくがんばってきたのに、関係ない子はかわいそうやな」と思ってた。
でも、ここ最近は考えが変わっている。 忘れてはいけない。かわいそうなのは、被害者の少年なのだ。
最後は、PL事件の際、「報知高校野球」に掲載されていた巨人・桑田投手のコメントを記して締めたい。私の言いたいことは、まるごとここにつまっている。
「非常に残念ですが、これを機会に野球部がよくなればいい。辞めた選手もこれからいい人生を送って欲しいですね」
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