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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2002年01月22日(火)
catchball

 昨年末、栗山司さんの野球日記の中で、「いつもキャッチボールが教えてくれた〜55の言葉で読むその不思議な力〜」(佐藤倫朗著・東洋経済新聞社)という本が紹介されていた。興味惹かれ、読んでみたら、これがまたすごく良かった。

 一言で言えば、「キャッチボールコラム集」。有名無名にかかわらず、様々や人のキャッチボールに対する思い出や感じたことが書かれている。

 文頭に「野球から独立したキャッチボールというものがある」と書かれている。確かに、そうかもしれない。キャッチボールは、勝ち負けのない「スポーツ」だ。

 しかし、残念ながら、私にはキャッチボールをしたという記憶は皆無だ。強いて言えば、大学時代、野球サークルのマネジャーをしていたときに、部員さんにボールの投げ方を教えてもらったときにしたくらいだろうか。「自分、ピッチングマシーンみたいな投げ方するなあ」と言われ、それっきりやっていない。

 それでも、「芝生のある大きな運動公園で、彼氏とキャッチボールをする」というのが、ささやかではあるが、大きな私の夢だ。また、子供が出来たら、旦那と3人でキャッチボールをしたいな、と思う。


 そんな私だが、もしかして、今していることが「キャッチボールなのではないか」と思うことがある。それが、この「野球日記」だ。ただし、それは今まで書いてきたキャッチボールとはちょっと違う。
 
 雑誌や本などで文章を書くライターや作家と呼ばれる人が、プロ野球で活躍する野球のピッチャーであるならば、今の私の立場は、近所の公園で父親にただ力任せのボールを投げ込む野球少年だ。

 どういうことか。

 プロ野球選手のピッチャーには、速い球を投げること以外にもいろんな事が要求される。コントロール・変化球・フィールディング・球種をばれないようにするためにフォームの矯正、野手からの信頼感…。今、本格派速球投手が少なくなったと言われているが、野球が複雑になった以上、病む終えない。

 そういう立場が、プロのライターや作家と呼ばれる方にダブるのだ。彼らの中で、「ただ書きたいことを書ける」人は一体どれくらいいるのだろう。あまりいないのではないかと思う。締め切り、文字制限、テーマ、読者のニーズ、売り上げ、取材制限、予算…。

 今の私は、倫理に触れない限り、好きなことを好きなだけ書ける。もちろん、取材などは出来ないし、それで生活のために働かねばならないのだが、それはそれで悪くないなと思う。

 そんな私は、「読者」という見えないキャッチャーが構える大きなキャッチャーミットに向かって、ただ力任せにボールを投げている。コントロールも何もあったものではない。

 でも、今のところ、私はそんなキャッチボールが大好きだ。やっぱり、(自分なりではあるが)速球を投げ込むのは気持ちいい。

 厳密に言えば、キャッチボールではないのかもしれない。でも、思いを投げて、思いを返してくださる方がいる限り、それは「キャッチボール」なんだ。私はそう考えている。

 読者の方が構える広いキャッチャーミットに、もう少しだけ甘えさせてください。


 日記スペースを借りている「えんぴつ」には、投票機能が付いており、読者のみなさんに気に入った日記に投票していただくことが出来るシステムになっている。そして、各ジャンル(私の場合は、スポーツに属しています)別にランキングが発表されている。

 今まで、私も参加していた。自分以外の人が自分の書くものをどう評価してくださっているかを知りたかったからだ。

 ありがたいことに、このスペースで日記を書くようになって、2ヶ月ほどしてから除々に票を入れていただくようになった。それは、すごく嬉しかったし、励みにもなった。

 しかし、昨日、その投票ランキングからの引退を決めた。キャッチボールのキャッチャーからの数少ない「返球」の証なのに…。

 何故かふいに「もう辞めよう」と思った。私は別に競争するために、日記を書いているわけではない。でも、ランキングを見るとどうしても意識してしまうのだ。

 票を戴いている皆さんには、勝手なことをして、申し訳なく思っていますが、みなさんから頂戴した1票1票は、私の心の中でこれからもずっと大切にしていきます。

 文面ではありますが、「誠にありがとうございました」。そして、今後ともよろしくお願いいたします。


 
 〜つれづれお仕事日記10〜

 今、職場には21人のスタッフがいるのだが、明日からは半減されて11人になる。ということは、残りの10人が今日で「お仕事最終日」だ。

 ピークを過ぎ、仕事がぐっと減った。また、今日で終わり組の「やった〜、これで仕事から解放される〜」という気のゆるみが全体に伝染してしまい、仕事場はいつになくだらけた雰囲気になっていた。

 いい年した大人の集まりなのに、何度か「もう少し静かにしてください」と注意されてしまう始末。

 私は、話す元気などなかった。眠かった。前日、3時まで起きていたことが、間違いなくその原因だ。ひたすらコーヒーとフリスクで脳みその奮起を促したが、まるでダメ。その上、不定期に舞い込む単純作業。「寝るな」という方が酷だ。時間の流れが異様に遅く感じた。

 後半3時間は、延々封筒の中身チェック。開封するときに、取り忘れた物がないかをチェックするのだが、もう既に人を変え視線を変え、何度となくやっているはずなのに、出るわ出るわ忘れ物…。

 私たちはチェックをする仕事をしているのに、こんなことって…。小さいころ、「大人は完全なる人間」だと思ってきた。でも、そんなことありゃしない。

 今日は、カツ丼を食べようと決めていたが、いざ食堂で注文する段階になって、口から出た言葉は、「天丼、ください」。カロリーが、30ほど少ないのだ。あとは、ほうれん草に、みそ汁。

 丼のご飯がネバネバしており、まん中で固まっていたので、うまく卵と絡ませて食べることが出来なかった。また、卵の白身がまだ液体状態で、それは、昔よく食べさせられた「卵かけご飯」を彷彿させた。私は、あまりスキじゃない。

 グループの人とようやく少し親しくなって、相手も私のことをちゃんと固有名詞で呼んでくれるようになったのに、気付いたらもうお別れだ。

 帰り、ダッシュで電車に乗ろうとするも、目の前でドアが閉まり、屈辱の10分待ち。ここ数ヶ月感じたことのなかったような物言えぬイライラが、足元からせり上がってきた。駅売店で買ったカロリーメイトをヤケ食いしたら、ちょっとは気が収まった。何も、電車乗り逃した位でここまでイライラせんでもいいのに。

 やっぱ、疲れてるんやろな、私。