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あるこのつれづれ野球日記
あるこ
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2005年11月26日(土)
トライアウト


 カシスオレンジって、小悪魔の味。
 こんばんは。あるこです。

 今日は、来春設立される大家友和ベースボールクラブ社会人チームのトライアウトを見に行きました。姉の友人が先日行われた1次選考に参加していて(落ちたけど)、そのときに「東山の服を着た人がいた」と言っていたので、一体誰なんだ?と気になって見に行くことにしました。(結局、東山のグラウンドコートを着た他校OB選手と判明)

 午前9時前に会場である今津スタジアムへ。球場入り口で、一人の若い男の子とすれ違った。「っす」と一礼。これには思わずびっくり。小柄だけど、顔つきはしっかりしている。縦縞の某強豪校のユニフォームを着ていて、手にはゼッケンが握られていた。番号は「95」。応援しよう。

 球場に入ると、運営の学生さんからパンフレット(なんたらブックって言ってた)とオリジナルリストバンドをもらう。

 広い球場の割に、スタンドが少なく、選手たちや同伴者を中心にポツリポツリと人がいた。グラウンドではすでにアップが始まっていた。見慣れたユニフォームから、見た事のないユニフォーム、練習着まで様々な格好をした野球選手がいた。リラックスした空気が流れていた。私の95番(笑)は、外野で準備をしていた。

 トライアウト開始が近づくにつれ、観客も増えていった。同伴者だけではなく、地元の少年野球チームに子どもたちや、地元の人らしき年輩の男性たちもいた。ノックのあと、紅白戦(形式。実際は試合するって感じではなく、いろんなシチュエーションでの選手のプレーを見ていたって感じ)。紅白戦では、バッターボックスの数メートル後ろで、大家GMを始め運営人がパイプ椅子に座って、フィールドの中に選手の動くに見ていた。慣れないのか、声が出るのに時間がかかっていた印象。「どうしても(ここで)野球をやりたいんだ!」という気迫というか、必死さを感じ取れる選手はほとんどいなかった。今はクラブチームが増えつつあるので、トライアウトのかけもちもしているのかもしれないけど。元気の良さをアピールすればいいのにと、何も知らない第三者は無責任に思う。

 そんな中、元気の良さを感じた選手が、ゼッケン番号7番。背はそんなに高くないけど、腕は太く、下半身はごっつい。青春のシンボルで顔を一杯にした、どことなくバットボーイズ大溝似(わかる人いるかな?)の童顔。この子、人見知りなんてしないんだろうなという印象。実はこの選手、姉の友人が連れてきた高校生。一緒に1次選考を受け、彼は落ちてしまったけど、7番の子は今日の2次選考に駒を進めることができた。私は彼(姉の友人)と一緒に見ていた。彼は、グラウンドを見ながら、ときどき「打ちてぇなあ」「やりてえ」「楽しいだろうなあ」と言っていた。

 午後1時前に紅白戦が終わった。1時過ぎの発表の間に選手は昼ご飯。興奮して、同伴者にあれこれ話す選手や、黙って淡々と携帯メールを送信する選手…。その姿は人それぞれ。でも、すでに一緒にお昼ご飯を食べる友達が出来ていて、みな緊張から解き放たれている感じだった。

 合格発表は、三塁側ダグアウト前で行われた。ホワイトボードに番号が書いてあり、裏向いていたため、選手よりもスタンドにいた私たちの方が先に結果を知ることになり、思わず声をあげた。7番の子は合格したけど、私の95番はダメだった。残念…。不合格者はゼッケンを返し、球場を後にする。

 合格者は、面接。しばしの待ち時間。スタンドで談笑している選手の声が聞こえる。
 「うかった、やった!また、お金かかるなあ(笑)」「グローブ、新しいのにしよう。何色がいいかな?」。そう言って、使い古したグローブをパチンと音をたてて叩いた。

 合格発表が終わること。それは別れでもある。面接待ちのため汚れたユニフォームのまま待機している選手に、不合格ですでに私服に着替え、その面影もない選手が一声かける。「やったな」。合格した選手が答える。「ありがとうございます。一緒に野球したかったっす」。「またいつでもできるよ」、軽く握手をして、私服の彼はさらりと球場を後にした。トライアウトを通じて、仲良くなったのだろう。そんな様子を見ていた別の合格選手が彼に言った。「おまえ、そんなんじゃプロでやれへんで。他人を押しのけるようでないと」。彼は、こう返した。「オレ、ここでは優しいこと言ってるけど、(野球を)やってるときは冷酷やから」

 私はここで帰ったのだけど、面接が終わったら、メンバーが決まるだろことう。いいものを見ることが出来た。“必死さをあまり感じなかった”とは言ったけど、元気に活躍する選手だけではなく、緊張で堅くなってしまった選手までも、素敵に見えた。今日初めて野球を観たという、姉の友人のツレの女性が、トライアウトが終わったあと感想を聞かれ、ひと言「かっこよかったです」と言ったけど、それはかなり真実だと思う。彼らはプロではない未熟な選手たちだけど、その懸命さにお金を払ってもいいと思った。

 最近ちょっと気持ちが冷め初めていたけど、知り合いのツレも合格したことだし、やっぱり注目していこうと思った。