paranoia kiss
    

ある年の七夕に、大勢で宴会をした。
その中に彼女と彼はいた。

その頃のあたしは、汚いものが一杯ついてて、
打算的で、物分りのいい女を演じていた。

彼女は純粋で、あたしがずっと昔に
もう捨ててきたものをたくさん持っていた。
色々相談に乗った。
ただ、彼女が羨ましかった。
もう、あたしが持つことのできないカードのようなものを
これからたくさん切ることができるのだ。

物分りのいい女を演じるか、
自分の気持ちに素直になるのか。
51%対49%で、心の中で戦っていた。

彼女の泪を見て、思わず、抱きしめてしまった。
やっと会えたのに。
心から応援しなくちゃいけないのに。

アタシノブンマデ シアワセニナッテネ。

もう、その日は飲むことに決めた。
宴会場所があたしの大好きな焼き鳥屋だったのは、
泣くに泣けない事実であり。

最近になって一度だけ、彼女を見かけた。
颯爽と歩く彼女はかなり格好良くて。
声をかけるのも躊躇った。

2006年10月30日(月)



My追加
Skin by yukie