paranoia kiss
    

君は似合わない花束を抱えて帰ってきた。
ポメリーの泡は思ったより長続きして、
今までの色々が浮かんでは消えているようだった。

あの頃、君が帰ってくるとあたしは出かけて、
君が寝付く頃、あたしは帰ってきた。
今はそんなことはもうない。

君と一緒に出かけて、
同じ場所に帰るのが嬉しかった。
今は待ち合わせすることもない。

待ち合わせをするにも、
同じ場所から時間差ででかけたあの頃。
今は待ち合わせに憧れる。

結局は人間は欲深く、ないものねだり。

一生好きなことをして孤独を選ぶか、
大変だろうけど、新しい何かを選ぶか。
後者を選んだあたしは後悔はしてない。

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そういえば、彼はお酒を飲まなかった。
法律が厳しくなった今では、
彼女と出かけても、素敵な言い訳になる。
愛車の助手席に乗せて、
いつでもどこでも出かけられる。

本当に幸せになってほしい二人。
此処で応援しているから。

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彼女は一瞬を文字にするのが、
非常にうまく、羨ましく感じる。

学生の頃、できる。とわかる。は違うといわれたように、
好きだけど、不向き。ということに気づかされる。

一瞬を文字にするのに、あたしは物凄く言葉を使う。
短文を書いていたころもあったけど、
どうやら、あたしには不向き。

たったひとつを言いたいだけなのに、
どうしてこんなに言葉を使ってしまうのか。
情景を切り取ったような短文を創り出す彼女を
非常に尊敬し、羨ましくもある。

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あたしが君を許せると思ったのは、
学生時代からの友人にある。

彼女の話を聞いていなかったら、
世の中で非常によくある結論を導き出したように思う。
彼女があたしがそういう状況にあるとは
これっぽちも知らず、あれこれ語ってくれた。

彼女が言う相手のようにあたしはなろうと思ったんだ。

離れてしまうことや、
連絡をとらなくなる。というのは、
非常に容易いことで、
ここでは敢えて続けるということを選択してみる。

それだけの女だった。と言われるのはとても残念だから。
それだけの女では今は終わりたくない。

よくある話の筋書きを変えてみようと思ったんだ。


2006年11月21日(火)



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