2025年09月28日(日) |
滅び行くニュータウン |
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近鉄大阪線に桔梗が丘という駅があって、駅前にはかつて近鉄百貨店もあったわけだが、今は人口も減少してかつての賑わいはない。ここは大阪への通勤圏として開発されたわけだがあまりにも遠いのである。なんばまで出るのに1時間半くらいかかってしまうわけで、なんでそんな遠いところを開発したのだと呆れてしまうわけだが、高度成長のころはそうしてどんどん田舎を開発してニュータウンを作ったわけだ。今はそのかつてのニュータウンは高齢者ばかりのオールドタウンと化していて、子どももほとんどいない活気のない街になってしまったのである。人口減少は郊外においてより顕著である。
戸建て住宅の並ぶそうした郊外の住宅地は、環境としては確かにいいのかも知れないが遠距離通勤というデメリットが大きい。そして、ある日突然ダイヤ改正などで不便になる子とがある。奈良県の五條市にも開発されたニュータウンがあるが、通勤時にJR和歌山線から大和路線に直通する快速は2024年春になくなってしまって、今は必ず王寺駅で乗り換えないといけない。その直通列車のおかげで座って通勤できると目論んで五條市に家を買った人は裏切られたのである。
そうしたオールドタウンに住む人たちの子は、すでに独立して別の場所に住んでる場合が多いわけで現在の居住者が死ねばあとは空き家になるだけである。いや、もうすでに大量の空き家が発生しているのである。地価も下がってるから取り壊して新築を建ててももはや需要がない。都心部に大量のマンションが供給され、やがてそれも余り出す可能性が高いのになんで遠い郊外にわざわざ住むだろうか。通勤に毎日往復で3時間も4時間も費やすようなライフスタイルはもう現代の生活にはそぐわないのである。
空き家だらけで滅び行くニュータウンは今後どうなってしまうのだろうか。そこに新たな住人として若い人や外国人をどう迎え入れればいいのだろうか。オレの住む街も高齢者だらけの街なんだが、空き家が取り壊されて二軒分の狭小住宅になるという小さな変化はそこかしこで起きている。30坪にも満たない狭い家が、まだ3000万円くらいの値付けで売り出されているのだ。同じ地域の中古住宅なら土地付きで500万円くらいで買えるわけで、なんでそんなぼったくり物件を買うのだろうかとオレは不思議に思うのである。
まだオレの住む地域はマシだ。少なくとも電車に乗れば10分以内で天王寺に出られるし、クルマで大阪市内に通勤することもできる。しかし、三重県名張市とか、奈良県五條市とかはもう完全アウトである。そんな地域はもとの山林に戻して熊や野生動物の楽園にしてしまうのが正しいのかも知れない。日本はヒトの居住地域を拡大しすぎたのである。人口が減少して密度が下がってしまった場合、そうした元ニュータウンを維持することは不合理なことなのである。大規模に整理していかないといけない。つまり「ニュータウンの廃墟化計画」である。そうすれば交通インフラの無駄もなくせるのである。
山を切り開いて建てられた郊外の大規模な住宅地は、人口減少社会の中で単なるお荷物でしかない。そこを維持するためには外国人に入植してもらうとか、そこに治外法権の独立国を作ってもらうとか、怪しい経済特区にして人を集めるしかないのである。
ニュータウンは人口膨脹時には一定の役目を果たしたことは間違いない。しかし、今やそれは負の遺産である。その一方で故郷を失い、帰るべき場所を持たない人たちはこれからどこに流れていくのだろうか。そして子たちが独立したオレの家もやがて空き家となり廃墟となるのだろうか。
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