日々あんだら
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2013年08月03日(土) |
屋久島旅行記(山編) |
ということで、屋久島から帰ってきました。こんばんは。 そういえば前回(7/29)の日記で、「8/1か8/2の日記で報告します」って言うといて、すっかり忘れてました。^^; 遭難してるんちゃうか?と心配した人がもしいたらごめんなさい。 無事です。
今回、3回目の屋久島で7泊8日滞在したわけですが、事前の最大目標は屋久島の縦走でした。 西から東まで、海抜0mから最高峰の宮之浦岳(1936m)を経由して、海抜0mまで降りて行く計画。 2泊3日か、3泊4日か。 が、結論から言うと自分の実力以上の無茶な計画でした。2回挑んで2回とも初日で引き返した。^^; ということで、当初の目的から言うと大失敗な旅になってしまったのでした。
7/28(日)
屋久島到着の翌日。1回目のチャレンジの日。 栗生の海際のキャンプ場を出発し、県道〜大川林道〜花山歩道と経由して、永田岳手前の鹿ノ沢小屋に泊まる予定。 20kg超(多分)の荷物を背負って、朝6時に出発。 …しようとしたら、傘が壊れるんじゃないかと思うようなスコールが2連発で襲来してきて、足止め。 結局、6時半に出発。
県道を約40分かけて歩いて、大川林道に足を踏み入れる。 ここからは傾斜の緩い林道が2〜2.5時間ほど続いて、そこから花山歩道に入ることになる。 最初の水場は花山歩道入口のすぐ近く。 (ちなみに屋久島では登山道のことを「歩道」というらしい。なぜか)
だったんだけど、林道に足を踏み入れた瞬間にぐったりしている自分に気づく。 まだ40分ほどしか歩いてないのに。傾斜なんて無いに等しいのに。20kg超の荷物なんて背負い慣れてるのに。 なのに、20mほど歩いたらもう休憩しないと足が前に出ない。 あと、こないだの日記にも書いたけど、とにかく虻がたかってくる。 このルート、登山で通行する人はほとんどいないらしくって(工事や林業の人は少し見かけた)滅多に人が通らないので、 虻たちが「ひさしぶりの獲物♪」とばかりに寄りついてくる。 歩きながら腕に痛みを感じて、ふっと見ると3匹並んで食いついてるのを見た時にはちょっとぞっとした。^^;
あと、思ってた以上に水の消費が激しい。 花山歩道入口脇の水場まで、そんなに水は飲まないだろうと思って、荷物を軽くするために800mlしか持ってでなかったんやけど、 林道の中がびっくりするほど蒸し暑くって、汗がハンパない。よって、水分摂取量もハンパない。
実は、先週の平日から風邪気味で、出発前夜も微熱があった。 どうやらそれが完治してなかったらしい。 林道を2/3ほど進んだ時点で水が残り5口分くらいしかなく、雨も降ってきたので、 県道まで戻るだけの体力と水が辛うじて残っている内に撤退することに。
帰りも、下りなのに林道がものすごくしんどかった。 同じだけの時間をかけて県道に戻ってきた時には、荷物を投げ出してへたり込んでしまった。 歩いて帰る気力も体力もなくて、逆方向に5〜10分くらい歩き、大川の滝のバス停からバスに乗って帰った。 待ってる間、バス停前の大川の湧水で水をたらふく飲んで頭からかぶった。 高校の野球部時代、監督の目を盗んでトイレの洗面台で飲んだ水の次くらいに美味かった。(例えが悪い。笑) 帰りはバスで15分。 帰って、ご飯作って洗濯してテント立てて休養。 テント暮らし、全体的にはなかなか快適やったけど、真夏の昼間はあかん。(暑くて眠れず)
7/30(火) 2回目のチャレンジの日。体調は、里にいる限り、特にしんどいとか異常は感じないところまでは回復。 前回の反省を活かし、花山歩道入口までタクシーで行こうかと考える。 なんせあの林道の疲れっぷりは、いくら体が完調でなかったとしても異常だった。 そこを全部すっ飛ばせるならそうした方が絶対いい。
と思ったんやけど、屋久島中のタクシー会社に電話しても「林道は荒れすぎててタクシーは入れない」 「林道の入り口までなら行ける」と判で押したような答え。
…それ、意味ないです。僕がカットしたいのはそこから先なんです。。。
しかも、粟生の近辺にはタクシー会社がなく、他の地区から呼ぶので回送料も発生する。 結果、県道15分程度走るだけで8〜9千円かかる。却下。
ということで、今回もキャンプ場から歩いて行くことに。
今回はスコールに邪魔されることもなく、6時に出発。 前回より5分くらい早いペースで林道入り口に到着。 装備を固めて林道に入ったわけなんだけど…やっぱり足を踏み入れた瞬間に疲れを感じる。
単純に、そのルートがきついきつくない、というのとは別に、そのルートが合う合わないというのも絶対あると思う。 そういう意味で、この大川林道は今まで経験した道の中で一番おれに合わないルートだ。 でも、今回は体調がいいのと、水も1.8L持って来たのとで、なんとか2時間ちょっとで歩道入口に到着。 ここから先はヤマビルが出るのでその対策をして、水も1.8Lフルチャージで9:50頃に出発。 立て看板を見ると、カスミ谷展望台というところに次の水場があるらしい。そこまで1時間程度かな。
で、歩道入口から入って5分で道を見失った。(笑) このルートはあまり人が通らないので踏み跡を見失い易い、獣道に迷い込まないように気を付けて、 と県道で会った地元の人に言われてたんやけど、いきなりである。(笑) 周りを見渡して、一応登って行けそうなルートが2本見える。 正しいルートにはピンクかなにかのテープがあるはずなんだけど、その時は見当たらなかった。 その2本の内、比較的緩そうな1本に見当をつけて登ってみる。
で、登り切ったらこんな感じだった。
明らかに、人が通った跡がない。獣道決定。(笑) さて、である。 間違ったルートに入り込んでしまった時には、わかる限り元の位置まで戻るのが唯一絶対の正解である。 が、実はさっき登ってきたルートを何事もなく降りる自信がなかった。 急で下が滑りやすいのである。そして、滑る下りが死ぬほど苦手なのである。 滑る。絶対滑る。そして落ちる。間違いない。(ドヤ)
ということで、コンパスで方角を確認し、正しいルートが向かう方向に獣道を突っ切ってみる作戦に。 ちょっと行ってみてダメやったら戻って来て降りよう。そうしよう。
で、でっかいバックパックを木々にひっかけひっかけしながら強引に進むこと10分。 5mくらい下の倒木にピンクテープが巻かれているのを見つけた。 もうね、その時の気持ちと言ったらアナタ。 幼稚園児の頃迷子になって、人混みの向こうにオカンの顔を見つけた時以来の安堵感でした。^^; なんとか正規ルート復帰。
が、やっぱり正規ルートも踏み跡が薄くてわかりづらい。 ピンクテープを慎重に探しながら進む。 でも、間隔が広いところがあったり、他の木の陰になって見えづらいところがあったり、 千切れて落ちてしまっていたりして、探すのが大変なところも時々出て来る。 これはマズい。日没までに山小屋に着かないと、ヘッドライトの光だけで見つけ切る自信がない。
そして急な登りで、根っこが絡まっている。根っこ道、苦手である。(滑り易いのは登り下りともに苦手) さらに、びっくりするくらいジメジメしている。 前回の汗がハンパなかったと思っていたんだけど、それを超えるくらいの汗がダラダラ流れる。 とどめに虻とヤマビルの襲来である。 今までヤマビルと遭遇したことは無かったんだけど、ふと気付いたらブーツの上でヤマビルが何匹もうにょうにょとダンスを踊っていた。 キモっ!!!!
そんなわけで進むスピードはものすごく遅かった。 カスミ谷展望台に着いた時点で正午。ここまで2時間半かかったことになる。遅すぎる!! しかも、当てにしていた水場が無い。 雨が降らなくて枯れた、とかではない。 ちょっと尾根っぽいところで、水場の痕跡らしきものもない。 と、下の方からせせらぎの音が微かに聞こえて来たので、バックパックとストックをそこにデポして、 水筒だけ持って降りて行くことにする。 (5分10分離れていても、「水場有」と書かれていることはよくあるので)
人の踏み跡っぽいものはないけど、幸いそんなに難しい斜面でもなく、普通に降りて行けるし戻れそう。 目印にすべき大きな木や岩をいくつか記憶しながら降りて行く。だんだん水音が大きくなってくる。 が、「あの岩の向こう」「あの斜面の下か?」と目星をつけて行くんだけど、なかなか出て来ない。 15分降りたところで、これ以上降りたら戻って来れなさそうと判断して、展望台まで戻ることにした。 (正直、戻る方向をちょっと見失って多少焦った。^^;)
で、展望台まで戻って悩む。 ここまででコースタイムの倍以上の時間がかかっている。 さらに、水場探しで30分ロスした。 日没までに山小屋に着くのはまず不可能である。
次の水場まではコースタイムで約1時間半。ということは、今の自分の足だと3時間。 そこまでなら日没前に辿り着くことができるだろう。 水さえ確保できれば、テントも食料(1日分予備有)も背負っているのでビバークはできる。
しかし、ここに水場がなかったのは痛かった。 残りの水は1Lを切っている。このまま行くと、次の水場までもつ可能性は低い。 水が無くなったらビバークもできない。遭難あるのみである。
良くてビバーク、悪けりゃ遭難…と考えてハッと気づく。 ビバーク前提で動いたらあかんやろ!!!あくまで緊急避難であって、それを目標に動いてどうする。 ということで、ここで引き返すことに決定したのでした。
ちなみに、下りでは4回くらい滑ってこけました。1回は結構な勢いで落ちかけた。^^; やっぱり、滑る下りは苦手。
こうして、花山歩道(大川林道)には2回挑んで2連敗したのでした。 うん、現状のおれには無理なルートやった。^^;
8/1(木) 縦走は諦めた。 でも、1つも山を登り切らずに帰るのは嫌だ。 このまま帰ったら、屋久島に苦手意識を持ってしまう。 どこか1つは登頂して帰らなければ…ということで、白羽の矢を立てたのがモッチョム岳である。
島の南部で数日暮らしていると、毎日のようにこのモッチョム岳の姿を見ることになる。 この、守り神かのようにそびえ立つ山、めっちゃ気になるやんけ!! 標高は944mと1000mに満たない。 が、登山届を提出した警察から、お昼を食べながら雑談した料理店のご主人まで、 みんな口をそろえて「急だから気を付けてね。がんばってね」と言うのである。
…。
………。。。
2連敗ですっかり自信喪失の僕は、それを聞いて相当プレッシャーを受けてしまった。 これで登れなかったらどうしよう。 山自体にトラウマを感じてしまいそうだ。。。
朝7時。 キャンプ場を引き払って、車で歩道入口まで行く。 入口は千尋の滝近くである。 朝7時半、登山開始。
こっちの森は、花山歩道ほど湿っていない。 からっとして、木漏れ日がキラキラと踊っている。気持ちのいい山である。 だが、やはり道は根っこ系(どんな系統や。笑)で、噂通り急である。 短足の僕には足をかけるのに一苦労なポイントもちょこちょこ出て来る。
…このルート、万代杉までは幼稚園児も登る、てホントですか? ヤクシマン、すげぇ。。。^^;
でも、ここのルートは情報通りにきちんと水場(せせらぎ)があったし、とても美しくて登っていても楽しかった。
 万代杉
何か所か、ロープを使って上り下りするポイントがあった。(これは頂上直下の、最後のロープ) というか、帰りに確認したら万代杉の手前(入口に近い方)にもロープ場があったぞ。 ホンマに幼稚園児が登るん?ヤクシマン、ホンマすごいな!!
やっと辿り着けた頂上。登頂で、こんなにホッとしたのは初めてかもしれへん。 里に近くて、急な山やから、そんなに高くないのに絶景が望める。 ここ、いい山やなぁ。
でも、コースタイム登り3時間のところを、4時間かかったのでした。 帰りも2〜2.5時間のところを、3時間くらいかかったし。 さらに、右足を捻り、右ひざを軽く痛め、左手に持っていたストックをへし折ってしまったのでした。 散々やな。^^;;;
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今回の3回の山、全体的に残念な結果やったけど、いろいろ気づかされました。
・おれは遅い。 ・重い荷物を背負った時のスピードダウン幅が大きい。 ・湿度が高い時に、水の消費量がハンパない。 ・根っこ道が下手くそすぎる。 ・ルートを見つけるのも遅い。 ・下りで足を痛めやすいので気を付ける。 ・ただし、引き返す判断はきちんとできる。
まあ、今回の山は自分で引き返す判断をきちんと下せて、誰にも迷惑をかけずに無事に戻って来れたので、 点数としては60点くらいです。ギリギリ及第点。
いつか、違うルートでも、屋久島縦走できるように体を鍛えよう、と決心して帰って来たのでした。
ちなみに、花山歩道の湿度が高かったという証明写真。
 レンズの中玉が結露する。
 ステンレスが錆びる。(他にも、ステンレス製の吊り輪も錆びた)
 汗をかきすぎて、革のブーツの表面に汗染みができる。
今まで、他の山では雨が降っててもここまでやられたことはない。 恐るべし、屋久島。^^;
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