「おっ!!」私は思わず声を上げてしまった。 東海大学が所属する首都大学連盟のHPは、今秋のリーグ戦から親切にも速報サービスを提供している。東海大学の筑川利希也(1年)が24日、日体大との2回戦で完封勝利を飾ったことが書かれていた。 筑川は東海大相模のエースとして昨春のセンバツを沸かした。キリッとした甘いマスクとは裏腹に、打者の胸元をグイグイ攻める。決勝では、4ヶ月後の夏の甲子園を記録的猛打で制した智弁和歌山を2点に抑え込み、初優勝の大きな原動力になった。その投球とともに注目を集めたのが、筑川の言動だ。「筑川節」「ビッグマウス」と表現していたスポーツ新聞もあったほど。マスコミ慣れをしているのか、それともしていないのか、思ったことをズバズバ言った。「甲子園?結構、簡単に来れましたね」「完封出来ると思って、お立ち台で何喋ろうかなと考えていたら、打たれちゃいました(笑)」などなど。 「筑川って、ほんとのところはどんな奴なんだ?」私はそんな興味を抱き、いつしか取材したい願望が強まっていた。6月中旬。念願叶い、筑川と初対面。テレビで見たそれとは大分違った。当たり前だが、普通の高校生だった。と言っても、テレビに映っていた姿が、「作られた筑川」ということでもない。実際に話しをして、そういう一面も確かに感じた。何事にも素直で正直だった。 7月。夏の神奈川予選。東海大相模は、5回戦で前年度覇者・桐蔭学園と対戦。「事実上の決勝戦」とも呼ばれた。筑川は完璧なピッチングを見せた。散発の4安打。1−0の完封勝利。試合後、「筑川節」は絶好調だった。「今日は楽でした。桐蔭は監督の指示を忠実に守って、ロボットみたいでしたよ」。しかし、新聞記者はそのまま紙面に載せることはしなかった。普通に考えれば掲載できない。 今日25日、私はスポーツ新聞を3紙買った。筑川のコメントを読むためだ。首都大学の情報と言えば報知新聞。一応、主催者である。報知を開く。スタメンしか載っていない。筑川の投球内容も、あまりにも素っ気ない扱い。次いで、日刊とスポニチを買った。悲しいかな。スタメンすら載っていなかった。今更感じたことではないが、「首都大学野球」とは所詮その程度の扱いなんだと改めて痛感した。筑川が進学先を決めるとき、多々の問題があった。やはり野球選手なら、大勢の観客の前でプレーしたいと思うのは当然である。注目を浴びたいと思う。現東海大エースの久保裕也(3年)は、ある雑誌で「卒業するまでに、平塚球場を観客でいっぱいにしたい」と語っていた。首都大学の観客は、関係者がほとんどだ。全ての観客を指で数えることも不可能ではない。 大学野球の世界に入り、初めての完封勝利。聞くところによれば、被安打2、12奪三振の完璧な投球だったとのこと。「ビッグマウス」は相変わらず健在なのだろうか。筑川には、東海大学を大学日本一に導くのはもちろんのこと、首都大学の人気を高める活躍にも期待したい。筑川利希也、完封勝利おめでとう!
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