2001年09月26日(水) |
とんでもないことが・・・(大阪秋季大会) |
何やら、とんでもない問題が起きたらしい。高校野球の大阪府秋季大会で起きたことなので、大きく報道されることはないが・・・。しかも、まだ4回戦。甲子園が間近というわけでもない。これが、甲子園本大会で起きていたら、大きな物議を醸したかもしれない。 大阪府秋季大会4回戦が24日行われ、今春センバツベスト8の浪速高校は阪南大高校と対戦した。浪速を率いるのは、小林敬一良監督。私はセンバツ終了後、何度かお話を聞く機会があり、小林監督の野球に対する知識の深さに感銘を受けていた。そのため、この秋季大会の結果も気になっていた。浪速は、2回戦で今夏甲子園代表・上宮太子を7回コールド勝ちで下すなど、勢いに乗り4回戦に進出。2年連続のセンバツ出場へ向け、勝ち進んでいた。 そして、24日。事件は9回裏、6対6で迎えた阪南大高の攻撃で起きた。(以下は現場で見たわけではないので、人伝に聞いた話である。)1アウト1.3塁。阪南大、サヨナラのチャンス。 バッターは、初球を思いっきり叩き、右中間にサヨナラヒットを打った。もちろん、三塁ランナーは大喜びでホームイン。ここで7対6、試合終了のはずである。だが三塁ランナー以上に、はしゃいでいた選手がいた。ヒットを打った打者と一塁ランナーである。打者はサヨナラヒットを打った喜びのあまり、一塁を踏むまずに歓喜に浸り、同じく一塁ランナーも二塁ベースを踏むことなく、一塁ライン上で打者走者と抱き合っていたという。 浪速はこれを見逃さなかった。ボールを捕ったライトの選手は、ショートへ返球。ショートはセカンドベースを踏み、次いで一塁へ送球。それを見た一塁塁審は「アウト!」とジャッジ。ダブルプレーの成立である。打球がライトに飛んだので分かりづらいが、これはルール上で言えば、「ライトゴロ、ダブルプレー」となる。野球中継で、良く「6−4−3」のゲッツーというが、それに置きかえれば「9−6−3」のゲッツーだ。 私は中学、高校と野球部に在籍していたが、「満塁で押し出しの四球があり、サヨナラ勝ちになっても、喜ぶ前にすべてのランナーが次の塁を踏みなさい」と教わったことがある。とにかく、打者が一塁ベースを踏まないことには、ホーム生還も認められないのは野球の基本である。 さて、ルールに照らせばダブルプレーが成立したわけだが、結果から言えばこれが覆った。主審が三塁ランナーのホーム生還を認め、阪南大のサヨナラ勝ちとなったのである。一度はダブルプレーが成立し、10回表の浪速の攻撃が始まるところまでいったという。だが、延長戦が始まることはなかった。 試合を生で見た浪速ファンは「ルールの分からん奴が審判をやるな!」と激怒していたそうだ。ちなみにこの主審は、問題となったジャッジ以外にもあいまいなジャッジが二度あり、浪速ベンチが説明を聞きに行くシーンがあったそうだ。 現実を考えれば、高校野球の審判は、プロでも何でもない。単なるボランティアだ。今夏の甲子園では、ルールの適用を間違え、平謝りしていた塁審もいたほどだ。夏の予選ではありえないが、ブロック予選や秋季大会の1回戦などでは、野球部の生徒が塁審を務めるのもよく目にする光景である。 問題なのは大会が進むにつれて、それなりの技術のある審判が試合を裁くことだ。例えは違うかもしれないが、誤審問題を続けて起こしたプロのある審判が、「二軍でしばらく調整する」という記事があった。「二軍なら誤審しても良いのか?」と私は思った。ひとつの判定、ひとつのストライクで、「一軍に上がれる」あるいは「クビを切られる」。じつは一軍よりも、二軍のほうが瀬戸際でプレーしている選手は多い。だからこそ、しっかりとしたジャッジが必要になるのではないか。高校野球も「甲子園を目指すもの」がいれば「初戦突破を夢見るもの」もいる。後者にとっては、1回戦が地方大会決勝戦ぐらいの気持ちで戦っているかもしれない。その気持ちに応えるためにも、全ての試合でしっかりとした審判が試合を裁くべきだと思う。 毎日毎日、それぞれの掲げる目標を達成するため必死に練習してきた成果を、ひとつのジャッジによって失うのは、あまりにもかわいそうだ。高校野球の審判問題はあまり大きく報じられることはないが、レベルを上げるための何か良い方法はないだろうか・・・。あいまいなジャッジで涙を流す球児の姿は、もう見たくない。
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