2001年10月28日(日) |
日大三、史上5校目の夏春連覇へ |
苦しい試合の連続だった。準々決勝の国士舘戦では3−2で接戦をものにし、準決勝の早稲田実業との試合では、終盤追い上げられる苦しい展開の中、5−3で辛くも逃げ切った。目立ったのは、夏の甲子園で見せた圧倒的な攻撃力ではなく、投手を中心とした守りだった。
そして今日28日、二松学舎大付属と東京都秋季大会の決勝戦が行なわれた。日大三は、今年の秋季大会を象徴するような試合の末、2年連続の優勝を決めた。3−3の同点で突入した延長10回、4番水野のタイムリーなどで3点を追加。そのまま逃げきり、来春のセンバツ出場をほぼ確定的なものとした。 優勝を決めると、今夏のレギュラーでもある主将の野崎は人目もはばからず泣いた。「夏の優勝チーム」というプレッシャーの重さが、その涙からうかがいしれる。優勝候補の筆頭に当然のように挙げられていた中での優勝だった。
ある高校野球の監督が「2年続けて全国レベルのチームを作るのは難しいことです」と話したことがあった。どうしてもレベルの高い世代があると、「このチームで全国制覇を狙おう」と、集中して練習を積むようになる。その結果、下の学年に練習をさせてはいるものの、監督本人の指導が100%行き届かないことが多々あると言う。 加えて、夏の甲子園で最後まで勝ちあがればあがるほど、新チームへの移行が遅れる。松坂大輔がいた横浜高校も、その翌春センバツに出場するものの初戦敗退。昨夏の優勝校智弁和歌山にいたっては、秋季大会の初戦で敗れてしまった。主力が卒業する中、夏・春と続けて強いチームを作ることがいかに難しいかが分かる。 日大三は、夏の甲子園を経験した野崎や幸内、そして甲子園のマウンドを踏んだ清代を中心にして、秋季大会を2年連続で制した。これで、都大会は昨秋から無敵の27連勝。先輩たちが築いてきた記録を、後輩が引き継いだ。 都大会優勝により、日大三は「春夏連覇」よりも難しいとされる「夏春連覇」への挑戦権を得た。長い甲子園の歴史で、過去に達成したのはわずか4校。2ヵ月前、甲子園を沸かせた猛打ではなく、守りのチームとして連覇へ挑む。
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