今日、生まれて初めて早慶戦を観戦した。高校野球は数えきれないぐらい見に行ったが、大学野球は数えるほど。主に春の全日本大学選手権や秋の神宮大会である。 ところが昨日、突然大学野球が見たくなった。六大学野球の早慶戦。理由は分からないが、最近大学野球に興味を持ち始めるようになった。高校のときに話す機会のあった選手が、大学でも野球を続けている。彼らが成長した姿を見てみたいからだろうか。 先日、首都大学を見に行ったとき、「大学野球も良いもんだな」と思った。それまでどちらかと言うと、彼らのプレーからは「熱意」が感じられなかった。大人びたプレー、クールなプレーが目につき、高校野球から感じる「熱」は存在しなかった。けれど、自分がずっと追い続けてきたという贔屓目もあるにせよ、筑川が悔しさを爆発させた姿を見て、大学野球を見る目が変わった。高校野球と同じような「熱」がそこにもある。 あまりプロ野球に興味のない女友達が、日本シリーズ前に放映されたTBS系の『ZONE』を見て、「プロ野球にもこんなドラマがあるなんて、初めて知った」と言っていた。その日は、近鉄のローズが優勝するまで、ホームラン記録を更新するまでの苦悩を描いた内容だった。 首都大学を見たとき、私の心境は、その友達と一緒だった。「大学野球にもドラマがあるんだ」と思った。今まで、冷めた目で見てきたことを悔いた。
最近、自分がなぜこれほどまでに野球が好きなのかと思う。頭の中で考えても答えははっきりと浮かばないのだが、なぜか球場に行くと「あ、こういうことなのか」と分かるときがある。 それは、選手や観客、応援団から、野球に対する「熱」を感じたときである。「野球をする」という現役から離れた今、彼らから与えられる「熱」を求めて球場に足を運んでいる。その「熱」を私に与えてくれるのが野球。だから、野球が大好きなのだと思う。「熱」を発してくれる限り、永遠に「野球きちがい」でいる。
今日の早慶戦、最後の最後に鳥肌が立つような思いをした。試合中から、少しづつ感じてはいたのだが、それが爆発した。 試合終了後、両校応援団による校歌斉唱とエールの交換が行なわれた。ゲームセット後、席を立ちあがり、帰ろうとしていた私の足を止めた。空いている席に座り直し、じっと聞き入った。 胸が熱くなった。応援団を中心に、卒業生や在校生が校歌を歌う。一糸の乱れもない。観客も帰り支度を一端止め、耳を傾ける。運営委員の方々も校歌斉唱とエール交換が終わるまで、閉会式を行うのを待っていた。 両校のエール交換が終わると、その日一番かと思われるぐらいの拍手が起きた。無意識のうちに拍手をしている自分に気づいたとき、なぜ野球が好きなのか改めて分かった。
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