2003年05月29日(木) |
不動産に対する政策提言 その2) |
株式市場という『いちば』に 上場している会社の 株式 は、
どこの証券会社でも買えますし、 もちろん売却もできます。
(投資信託 についても、 早くそうなって欲しいのですが・・)
証券会社の 差別化 を考えた場合、 例えば、中国株式に強いとか、
手数料が安いとか、逆に高度な 資産管理ノウハウを持っている、 といったことが考えられますよね。
(ただ、現状は)証券会社自体の差別化 (棲み分け)は十分出来ていません・・。
< だからこそ、こんなに たくさんの証券会社があるのです >
それはなぜでしょうか?
私たち消費者が、 有価証券の売買・保有 ということに関して “成熟”していないからです。
つまり、「多様なニーズ」を 顕在化させるだけの 知性 がまだない、 ということ。
わたしは「証券会社」について 申し上げたことと同じようなことを 「不動産業者」にも感じています。
不動産業者も「不動産」という資産を仲介する、 言ってみればブローカー(仲買人)です。
その中で、事業の差別化 というものが まだ十分出来ていません。
< だからこそ、こんなに たくさんの不動産業者があるのです >
サービス提供者にとって「事業を 差別化しなければならない」という状況は、
健全な競争が働いている証拠だ とわたしは思っています。
(昨日お話した)不動産物件の 「流通システム」が整備され、例えば
売り物件の情報が低コストで、 不特定多数の消費者に提供されれば、 既存の不動産業者の半分は 淘汰されてしまうでしょう。
もちろんそれは、 消費者にとってはプラスになることで、
(しかし、その衝撃があまりに大きいので) 【不動産ビッグバン】と呼ばれるわけです。
さて、昨日の提言
「賃貸物件、売買物件を問わず、 成約価格の情報開示を義務づける」 ですが、
例えば、不動産の売買では、 所有権移転の 登記 を行います。
その際、 「登記簿に 成約価格 の記載を義務付ける」 という制度が有効なのでは、
とわたしは考えています。
多種多様な「成約価格」が 公の情報 として蓄積されれば、
それ自体が「市場原理による価格形成」を導く “原動力”となるでしょう。
株式にしろ、債券にしろ、その 「価格の推移」は誰にでも追跡できますよね。
不動産の価格 もそうあるべきと思いませんか?
そうすれば、わざわざ お上(かみ)が発表している、
今年1月1日現在の
東京都○○区○○町1丁目1番1号の 土地の値段 は、○○○万円です。
という奇怪な現象(公示価格)は なくなるはずです。
モノの値段は、需要と供給の バランスによって決まるもので、
行政が○○○万円です、 と決めるものではありません。
しかも、公示価格、路線価 などは、 土地の値段 のみを発表しています。
その土地の上に、 10階建てのビルが建っているのか、 何もないのか(更地)はお構いなしにです。
● 10階建てのビルを持つ土地と、 何もない更地から期待できる収益には 雲泥の差がありますよね。
行政が発表する不動産価格は、 そのことをまったく考慮していません。
昨日の提言
「公示価格、路線価、固定資産税評価額等は、 その不動産から生み出される収益力(フロー)を基に算出する」
と挙げました。
税金は収入があるところから徴収する、 ということを基本にしますと、
● 10階建てのビルを持つ土地と、 駐車場として貸している更地の評価額 は、 大きく違ってしかるべきです。
たくさんの収益が見込める不動産の評価額は高くなり、 従って、税金も高くなります。
一方、収益があまり見込めない不動産の評価額は低くなり、 従って、税金も安くなる。
極めてシンプルでしょ?
そして、今申し上げたように、
土地と建物を分けるのではなく、 ひとつの 不動産 として評価する必要があります。
10階建てのビルが建っていても、更地でも、 土地 + 建物 = ひとつの不動産である
という前提で、不動産の価値を算出すべきでしょう。
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