コラム 金財茶房 〜 投資のゴマはこう開け!〜


2003年06月18日(水) 人口動態学


こんにちは、カンです。

今日は一冊の本をご紹介しましょう。

「団塊世代の経済学」 日経BP社 
ウィリアム・スターリング スティーブン・ウェイト 著

「未来のことを完璧に予言するなんて、
誰にもできやしない・・」という謙虚な姿勢のもと、

(長期的な)経済動向を占う上で
【人口学】がいかに大切か ということを説いています。

皆さん、『ベビーブーマー』という言葉を
聞かれたことがありますか?

日本の「団塊の世代」と重ねて
訳されることがありますが、

アメリカの『ベビーブーマー』は
その範囲がより広範に及びます。

      
一般に、1946年〜1964年に生まれた
約7600万人 を指します。

本書では『ベビーブーマー』こそが、
アメリカ経済の 需給関係 に多大な影響を与え、
景気の波を形成してきた、と喝破しています。

例えば1970年代は、
『ブーマー』が労働市場になだれ打ち、
供給が過大になったため、労働賃金が低下した。 

またこの時期、不動産、自動車を
ローンで購入する『ブーマー』が増えたため、
金利の上昇を招いた、とも言っています。


90年代の好景気、株価上昇も、
『ブーマー』世代がちょうど脂の乗り切った時期に差しかかり、

収入・貯蓄とも上昇 → 本格的に
「資産運用」に取り組み始めた結果だと説いています。

(本書では、あと7年は
アメリカ経済は安泰だ、と言っています・・)


しかし著者は、『ブーマー』世代がリタイアし始める、
2010年からの 20年間 に対して、警鐘を鳴らします。

例えば、『ブーマー』世代が会社を辞め、
リタイアするとは・・?

(下の世代にとっては)
昇進の機会が増える・・(良いこと)
スーツの売上高が減少する?(多分・・)

『ブーマー』世代は セカンドライフ に備えて、

「小さめの家に買い換えようか・・
(いや)フロリダに移住しようか」と囁き合う。

フロリダの人口が増える・・。
(フロリダの不動産市況は good ?)

老眼鏡、補聴器の市場が拡大する・・。
(旅行業界も good!)


また『ブーマー』世代は、
運用に回して置いた 債券、株式等 を売却し、
生活資金に充てるでしょう。

ということは、株式市況 は・・?  

アメリカ全体で 貯蓄率 が
下落していかざるを得ないでしょう。

(今までの蓄えを
取り崩していく生活になるから・・)

社会保障、医療保険(メディケア)
の面では、どうでしょう?

(本書では、次のように予想しています)


人間は、年を取ると保守的になる。
若い人より、シニア世代の方が選挙によく行く。

つまり、『ブーマー』世代がシニアになるということは、
選挙に行く巨大な「保守層」が生まれるということです。

政治は 人気商売 のところがありますから、
大きな票田である『ブーマー』世代
= シニア層の意向 は無視できません。

したがって、社会保障、医療保険(メディケア)
関連の支出が増えます。

つまりこれは、
政府支出 が増えるということです。
(すると、将来的な 増税 か?)


そして(ここからが大切なのですが)

このような現象はアメリカ国内だけではなく、
カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本などの先進国に
“共通の現象”として起こってくることなのです・・。


次回は、日本を例に挙げてみましょう。


 < 過去  INDEX  未来 >

作者 カン・チュンド に熱いメッセージを。 [MAIL]

晋陽FP事務所 [ホームページ]

My追加
-->



Copyright (C) 2000-2004 SINYO FP OFFICE. All Rights Reserved.
HOME BACK