2003年06月20日(金) |
人口動態学 その2) |
一国の「経済成長」を占う上で、 大切なものは ヒト・カネ・生産性 です。
例えば、A商品を作るためには、 人間(ヒト)が必要です。 (労働力 と言ってもいいですね・・)
そして、さまざまな設備を用意するために、 資本(カネ)が必要です。
そして、どれくらい効率的に A商品を作ることができるかという 労働生産性 も重要です。
◆ 経済成長 とは、 労働力 × 資本 × 生産性 という式で 導かれるのですね。
つまり、
労働人口が増えない、 減少していくということは 経済成長にとっては由々しき事態なのです。
では、今までの「日本の人口動態」を 振り返ってみましょう。
1950年〜70年代、この時期は、 まさに日本の高度成長期ですよね。
この頃、20歳〜60歳の労働人口が、 際立って増えています。
(遡ってみると)どこかで 『出生数』が増えた時期があった、ということです。
例えば、1920年〜40年頃 に 生まれた世代の方々がそうです。
当時(特に昭和に入ってからは) 軍国主義的な政策と相まって、
“産めよ増やせよ”という掛け声とともに 『出生数』が大きく伸びました。
1950年〜70年代の 高度成長を支えていたのは、 これら 戦前生まれの世代の方々 なのです。
そして、70年代から80年代末まで、 日本の労働人口は増加を続けました。
どの世代が貢献したかというと・・、
そうです、1946年〜49年生まれの 【団塊の世代】ですね。
バブルの頃は、【団塊の世代】が ちょうど脂の乗りきった時期と重なります。
しかし、90年代に入ってからはどうでしょうか。
日本の労働人口は増えていません。 むしろ、減少しています。
大胆な「移民政策」がなければ、 生産年齢人口(15〜64歳)は
2000年の 約8700万人 から、 2030年には 約7000万人 に落ち込んでしまいます。 注)国立社会保障・人口問題研究所 中位予測 より
【団塊の世代】1946年〜49年 (昭和21〜24年)生まれの方は およそ800万人。
今現在、日本の50歳以上人口 は 約4500万人 です・・。
日本では、ヒトが減少していく社会、 超高齢化していく社会が 目前に迫っているのですね。
そのスタートは、【団塊の世代】の方々が リタイアする時だと考えます。 (2010年 を目安に考えてください・・)
続いて、 資本(カネ)の問題 です。
先ほども触れましたように、 【団塊の世代】がリタイアすれば
公的年金、企業年金を問わず、 その給付額 が大幅に上昇します。
年金保険料 を支払っている人の額が、 年金給付の額 に追いつかなくなるのは 目に見えています。
ちょうど今、2004年の 『年金大改正』の審議がされていますが、 辻褄合わせの「手打ち」しか期待できないでしょう。
(はっきり申し上げますが) これから先、何度も何度も“年金危機”が叫ばれ、
その度に、給付額の削減や、給付時期の先送りや、 税金徴収の「議論」がなされるでしょう。
私たちは「年金疲れ」という 病 にかかってしまいます(笑)
また、団塊の世代の方々が退職すれば、 【貯蓄率】は下がっていかざるを得ません。
今までストック(資本)として 蓄積していたものを吐き出していく、 という「作業」が始まるからです。
それは 個人でも、国でも、同じことなのですね・・。
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