2003年06月27日(金) |
これからは 国際通 カン です |
日本に住んでいると、どうしても 日本の情報がメインになってしまいます。
海外の情報も、日本の編集者のフィルターを 通したものになりがちです。
先日の BBCワールド で、 アメリカのセントルイスという町が 紹介されていました。
セントルイスはかつて、 西部開拓の玄関口となった町です。 (人口は35万人弱)
「この町では誘致していた大企業がいくつも撤退し、 現在は失業率が15%に迫っています」 とニュースの中では紹介されていました。
コンクリート剥き出しの 空オフィスからBBCの記者が、
「ドル安、低金利、減税政策 を持ってして、 果たしてアメリカ経済の下支えはできるのでしょうか?」 と問いかけます。
経済 という複雑怪奇な“生き物”を見る場合、 ミクロの視点 から覗いてみることは 時にたいへん有効です。
ある人は、平日のデパートの人出を観察し、 ある人は 夜の歓楽街を練り歩きます。
また、電車の中で交わされる 何気ない会話の中に、
「景気がこの先どう動くのか」という “ヒント”が隠されていることがあります。
さて、上述したBBCの記者は、 FRB(米連邦準備理事会)の金融政策 に対して、
「景気悪化に対する対応が遅すぎた、 ということにならなければよいが、」 と警告していました。
そのFRBが 0.25%の 利下げ を発表しましたね。
アメリカの金利が下がった、 ということが重大なニュースとなる理由は、
(結局)「世界経済 が アメリカ に おんぶに抱っこの状態」だからです。
短期金利の指標であるフェデラル・ファンド(FF) 金利は 年1.0% となります。
いよいよアメリカでも “ゼロ金利”が視野に入ってきたのですね。
日本の例 を見ればおわかりのように、 モノの値段が継続的に下がるような 世の中(デフレ)では、
金利がゼロでもほとんど 「ありがたみ」はありません。
先手、先手の政策を行ってきたFRBですが、 今回も本格的な景気後退を 防ぐことができるのでしょうか?
変わって、 Far Eastern Economic Review 6月26日号に 「中国元の為替レート」についての記事が載っていました。
Review はアジアをメインとした 唯一の週刊ビジネス誌であり、 56年の歴史を誇ります。
当誌のコンテンツは 大きく5つ に分かれます。
The Region(地域情報) China(中国情報) Innovation(技術革新) Money(金融)Currents(最新動向)
そうなのです、 わたくしカン も Review を購読し、
アジア通 になるべく ブラッシュアップに努めているのです(笑)
さて上記記事では、 諸外国の金融担当者が
「中国はもっと為替レートの 変動レンジを広げてくれ。 = 中国元のレートを引き上げてくれ」
といった不満を述べている、 と云っています。
中国元 が安すぎる(元安)のは、 誰もが認めるところです。
中国政府 は、自国の産業を 保護するため(輸入品に対して)、
あるいは、自国の輸出を発展させるために 中国元の為替レート を柔軟化することには 極めて慎重です。
しかし(記事の中では)
「中国では現在、3160億ドルの外貨準備があり、 外貨を売って元を買う潜在圧力は強い」と述べています。
(元高 圧力ですね・・)
実際、中国人民銀行(中央銀行)は 現状の 為替レート を維持するために、
『元売り介入』を繰り返しているのです。 (ドル買い、元売り ですね)
わたしは該当する統計を まだ見つけていないのですが、
中国は(日本と並んで) 巨額の 米国債 を購入しているのです。
(アメリカ と 中国 の関係を 占う上でたいへん興味深い・・)
さて、(ドル買い、元売り)が 何をもたらすかというと、
市場に大量の 元 を 滞留させることになります。
つまり、中国政府 が真に 危惧しているのは、元高 ではなく、
通貨の流動性が過剰になり、 資産バブル が増幅してしまうことなのです。 (特に、大都市圏の不動産・・)
あと10年もすれば、 中国の 中央銀行 が発表する金融政策が 世界の重大ニュースになっている可能性がありますね・・。
皆さん、よい週末を!
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