2003年09月09日(火) |
出生率 から世界を覗いてみましょう |
こんにちは、カン です。
この日記では再三申し上げていますが、 一国の経済成長 と 人口動態 の間には 「深い関係」があります。
(単純に考えますと)男女が結婚して、 『ふたりの子ども』を作らないことには、
マクロの人口を維持することができません。 (父母は子どもより早く他界しますから・・)
つまり、【合計特殊出生率】が 2.0人 を割り込むということは、
その国の人口が(将来的に) 減少していくことを指します。
< 人口が減少していく社会では、 経済のパイが小さくなっていかざるを得ません >
さて、お隣の韓国では、2002年の【合計特殊出生率】が 1.17人 になったそうです。
これは日本の 1.32人 をも下回っており、 世界的にも最低のレベルとなります。
そんな時、 わたしはある本のことを思い出しました。
< 経済幻想 エマニュエル・トッド 著 藤原書店 >
この本の中で、先進国の【合計特殊出生率】について 興味深い記述がありました。
著者は 国別の【合計特殊出生率】を引用して、 先進国群 を大きく【絶対核家族型】と 【直系家族型】に分けていたのです。
わたし流の解釈はこうです。
【絶対核家族型】
アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ など 家系・共同体 に対する呪縛が薄い。
プロテスタント的(イギリスはイギリス国教会ですが・・)
プロテスタントは、 神と個人が直接契約をする信仰の形ですから、 【個人主義】の考え方を内包しています。
家系・共同体 に対する呪縛が薄い、個人主義 ↓ 子どもを産みやすいのか・・?
上記 著書における【合計特殊出生率】
アメリカ 2人 イギリス 1.8人 オーストラリア 1.9人 カナダ 1.7人
上記の国々は『移民受け入れ』にも寛容ですね・・。
一方【直系家族型】
日本、韓国、ドイツ、スイス など 家系・共同体 に対する呪縛が未だ濃い。
民族意識? 日本しかり、韓国しかり。 ドイツ、スイスは ゲルマン民族・・。
(日本・韓国については)儒教型 の倫理観 (ドイツはプロテスタントだが・・)
上記 著書における【合計特殊出生率】
日本 1.4人 韓国 1.5人 ドイツ 1.3人 スイス 1.5人
(データは1995年のもの・・)
「家系・共同体 に対する呪縛が濃い」ということで、 出生率が下がるのは たいへん興味深いと思います。
しかし、いちばん目を引くのは スペイン、イタリア のラテン系社会です。
この両国では【合計特殊出生率】が 1.2人 になっています(上記著書による)
「家系・共同体 に対する呪縛が濃い」 という点ではフムフムと納得できます。
しかし、ラテン系 → 1.2人 の 出生率はうまく理解できない・・。
(【カソリックの国】ですから、 中絶なども教えに反することだと思うのですが・・)
わたしは、先進国の【合計特殊出生率】は 重要な 経済指標 であると考えます。
EU(欧州連合)の量的拡大や、 アメリカの潜在成長率の高さや、
アジアにおける日本・韓国の相対的な地位の変化など、 さまざまな事象を占う 先行指標 となるのではないでしょうか。
カン・チュンド
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