コラム 金財茶房 〜 投資のゴマはこう開け!〜


2003年09月17日(水) 「あのね、あのファンドは あのお店に行かないと売ってないの!」


こんにちは、カン です。

ついこの間、半年間続いた 神戸新聞文化センターの
「女性のための 投資教室」が終了しました。

わたしがこの講座を担当するのは3度目なのですが、
いつも受講生の皆さんに

「これがわたしのイチオシ会社」と題して、
投資したい会社を選んでいただきます。

今回もいろいろな会社が登場したのですが、
ふとしたきっかけから
『再春館製薬所』という会社の話になりました。

(本社は熊本にあるんですね・・)


「ドモホルンリンクル」という化粧品が有名です。
(テレビCMでやっていますね)

「ドモホルンリンクル」、
けっこういいお値段になるそうですが、
リピーターが多いそうです。

「あの化粧品は、あのお店(通販)でしか売っていない・・」

当然、その事実は「ドモホルンリンクル」の
付加価値向上へとつながります。

(私見ですが、上記会社はすでに上場できる力量を
備えているのではないでしょうか?)


さて、日本にも
投資信託 という商品があるのですが、

「あのファンドは
あのお店に行かないと売っていない」という現象があります。

(というか)それが普通になっているのです。

例えば、「A証券会社で買った B投資信託 は、
A証券会社でしか買えないモノ」となります。

もし、A証券会社が解散する、
あるいは B投資信託 の扱いをやめる、
ということになれば、

B投資信託の保有者は
困ったことになってしまいます・・。


実はついこの間、そういう事実がありました。

投資信託のオンライン販売で定評があった
『野村ファンドネット証券』が、

その販売業務を『野村證券』に移されると
のこと。(今年12月に)

要するに、Bファンドを
『野村ファンドネット証券』で購入された方は、
その口座が『野村證券』へ移管されるのです。

「窓口が変わるだけで、別に大したことないじゃない」

いえいえ、大したことあるんですよ。


(例えば)プルデンシャル投信が運用し、
『ファンドネット証券』で販売していた

PRU マーケットパフォーマー は
12月以降、もう売っていません。
(野村證券 では扱わないからです・・)

すでに保有者である方も、
新たな買い付けができません。

これはどういう意味か?

追加投資ができない、ということです。

(口座移管 を希望すれば、
 引き続きファンドの保有はできます・・)


また、ファンドという商品は
毎月定額を購入する「積立て投資」を選択できるのですが、

『ファンドネット証券』の「ツミタテルーム」を
利用して積み立て投資をされている方は、

『野村證券』に口座移管後は、
積立てが継続できない恐れがあります。
(例えば、ニッセイTOPIXオープン です)

調べてみますと、『野村證券』では
積立て投資として扱わないファンドが数多くあります。

これはどういう意味か?

「積立て投資」が継続できない、ということ。


さっきの
「ドモホルンリンクル」の話に戻りますが、

もし『再春館製薬所』が
「ドモホルンリンクル」の取扱いをやめれば、

同商品を2年間愛用してきた
C子さん はどのように思われるでしょうか?

「困った・・」

(わたしは男なので詳細はわからないのですが)

化粧品って、
継続して使用してこそ、
この効果が期待できるのでしょ?


投資信託 という商品も同じなのですね。

ファンドという商品の「効き目」が出るには、
化粧品よりも長い長い時間がかかります。

ましてファンドの場合は、
必ず「効き目」が出る という保証はないのです。

自分で働いて貯めたお金を捻出して、
長期にわたる運用を
行おうとしている生活者はたくさんいます。

その多くは、自らのライフプランに照らし合わせて、
投資という作業に取り組んでいるのです。

◆ 途中でそのファンドの販売が終わってしまう、
  新たな積立て投資ができない、

ということは大きな『潜在リスク』なのです。


わたしは 商品の品揃え、投資手法の品揃え、
オンラインという利便性、

コストの低減を重視した姿勢などから、
『野村ファンドネット証券』を高く評価していました。

(少し大げさに言えば)

長期に資産形成を行おうとする
20〜30代の生活者にとっての

「金融インフラ」になる可能性を
秘めているとさえ思っていました。


今回の決断は、
販売業務を親会社に集約するという
「戦略」なのでしょうが、

20〜30代の投資家を育てるという
「長期ビジョン」に欠け、甚だ納得できません。


【わたしの本来の主張】 

先ほど、「あのファンドは
あのお店に行かないと売っていない」
という例を出しましたが、

ほんらい B投資信託 というひとつの金融商品は、
複数の「金融窓口」で購入できるようになるべきなのです。

もし、村田製作所の株式 が
『野村證券』でしか買えないとなったら
どうでしょうか・・?


投資信託(公募ファンド)は株式 と同じく、
金融資産の中核を成す 公共財 であり、
その選択機会は広く平等にあるべきだとわたしは思います。


「どのファンドを選ぶのか」で
生活者は自己責任を迫られます。

「ファンドを購入することで
リスクを引き受けるのも」生活者自身です。

だったらせめて「選択の機会」は広く、
豊富にあるべきではないでしょうか・・?


カン・チュンド


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