2004年10月15日(金) |
グロース投資 VS バリュー投資 |
こんにちは、カン・チュンド です。
今日は少々 マニアック になるかもしれません・・(苦笑)
(皆さんは意外に思われるかもしれませんが) 成長株式 に投資をしたとしても、
バリュー株式 に投資するのに比べて、 低いリターン(収益)しか期待できません。
それは なぜ なのか?
勢いがあり、成長性の高い(グロース型)会社 に投資しているのに、 なぜ、疲れ果てている会社、株価が割安に放置されている会社
(バリュー型)に投資するよりも(全般的に)成績 が劣るのか?
(この問題、なかなか根が深いのです・・)
例えば・・、
先述しましたが(世の中には)行動ファイナンス と呼ばれる分野があります。
その専門家(A専門家)は、
・投資家は 成長株式 にお金を払いすぎている(高く買っている)
と見なします。
そして、
・割安(バリュー)株式 には お金をあまり払っていない(安く買っている)
と見ます。
なぜこんな 違い が生じるかというと、 【いちば】というところは不完全な場所 であり、
・株式の値段(株価)はそもそも間違って導かれていると (A専門家は)考えるからです。
つまり、「いちば」の 変則性 ですね。
この 変則性 は アノマリー( anomaly )と呼ばれています。
株式市場には、 アノマリー(変則性)が一定度 存在することが広く知られています。
さて、もし皆さんがある時、
成長株式 を高く買い、割安(バリュー)株式 を安く買っていることに 気付いたとしたら、どうでしょうか?
そこには(おそらく)裁定 が働くのではないでしょうか?
裁定?
つまり、高い株式(成長株式)を売って、 安い株式(バリュー株式)を買おう とする 行動 です。
(これを 裁定取引 arbitrage と呼んでいます)
この 裁定 が働くことで、 成長株式 も 割安株式 も「正味価値」に近づく、というわけです。
→ つまり、成長株式 の期待リターン と、割安株式 の 期待リターン が 限りなく近づいていく、ということ。
が、しかし(現実には)この 裁定 はうまく働いていません。
なぜなら多くの投資家が、
◆ 成長株式 こそ、期待リターン が高く、 割安(バリュー)株式 は 期待リターン が低い と
「思い込んで」いるからです。(ここ、重要!)
わたしはお客様に常々申し上げています。
◆ 成長性の高い 株式 と 投資妙味のある 株式 は(まったく)別物 です、と。
さて、もう一方の専門家(B専門家) はこう考えます。
「いちば には(そもそも)裁定 が働く余地はない。 いちば は効率的なのだから・・」
割安(バリュー)株式 の方が 成長株式 より、 期待リターンが高い(プレミアムのリターンが存在する)としても、
それは、毎年規則的に実現されるものではない。
(なぜなら、いちば は効率的だから → 予測は不可能・・)
(逆に)成長株式 の方が、割安(バリュー)株式 よりも 高い収益を残している時期が存在するではないか!
(例えば、90年代のアメリカ市場・・)
(ようやく?)わたしの結論 ですが、
成長株式 と 割安(バリュー)株式 のリターンの「差」は 明らかに存在します。
(長期の歴史データをひも解けば、バリュー株式 の結果リターンが 成長株式 の結果リターン を上回っています)
「効率的市場仮説」で有名なシカゴ大学のファーマ教授は 次のように云っています。
株式市場には、さまざまなリスクが存在する。
いちばん基礎にあるのは「市場リスク」そのもの。
もしあなたが、市場自体が提供する「収益」を超えるリターンを 獲得したいのなら、
「市場リスク」 プラスアルファ の リスク を 引き受けなければならない。
(例えば)あなたが バリュー株式 に投資をすれば、
「市場リスク」+ バリュー株式「固有のリスク」 を引き受けることになりますね?
上の式 を見ると、
私たちは(バリュー株式に投資することで)より高い 価格変動のブレ を
引き受けなければならないと思ってしまいますが、
(価格変動のブレ の大きさ = 「リスク」の大きさ)
実際には、
バリュー株式 に投資することによるリスクの大きさ(標準偏差)は、 成長株式 に投資することによるリスクの大きさ(標準偏差)より
小さくなるのです!
(ここ、ポイント!)
これ、ここだけの秘密ですよ(笑)
※ グロース投資・・ 企業の利益成長に重きを置いて投資する手法。
※ バリュー投資・・ 企業の「正味価値」に対して割安なものに投資する手法。
企業向けセミナー にて。 in 茨木
|