コラム 金財茶房 〜 投資のゴマはこう開け!〜


2004年12月03日(金) 上海証券取引所の ETF について


こんにちは、カン・チュンド です。

このコラムの熱心な読者なら、弊所が国・地域として「中国」を重視し、
金融商品として「ETF」に重きを置いているのはおわかりいただけると
思います。

10月28日号 の Far Eastern Economic Review
大陸中国にて ETF の設定がなされる予定

との記事が載っていました。

ETFという インデックス・ファンドを進化させた金融商品は、
ふたつの運用会社がそのシェアにおいてしのぎを削っています。

ひとつは BGI(バークレイズ・グローバル・インベスターズ)
もうひとつは State Street(ステート・ストリート)です。


記事によると ステート・ストリート は、年内にも 上海証券取引所 の

指数である Shanghai 50 に連動するETF「Shanghai 50 ETF」を
同取引所 に上場させたい構え とのこと。

(もちろん、難なく事が運ぶかどうかは まだわかりません。
→ なにせ相手は 中国政府 ですから・・)


このETFは A株 に上場する時価総額上位50社を
組み入れ対象とするため、

(当然)ETF自体も A株 に上場するものと思われます。
(→ つまり、私たち外国人投資家には買えない?)


(実は)ステート・ストリートは99年に、
ETFを設定するアイデアを中国当局に持ちかけていました。


大陸中国で、株式市場という「いちば」が出来て
15年になろうとしていますが、

「株式市場さえ出来れば 資本主義 の仲間入り!」という
単純コース を歩んでいるわけではありません。

(実際)民間の株主 が多数を占める「ふつうの株式市場」とは
ほど遠いのが現状です。

中国当局 の悩みは、上場企業の約3分の2の株式を(未だ)
政府・省・市町村・その他関連団体が「保有」していること・・。

(つまり実体は、ふつうの株式市場 に前足を浸しているだけ・・)

中国でほんとうの「資本主義」が発展するためには、
政府が保有する株式が 過半数以下 になる必要があります。

(つまり、会社のオーナーが 民間人・民間会社 になる、ということ)


もちろん中国当局も(株式市場の発展を考えると)
保有する「株式」を売却したいのはやまやまなのですが、

自身が動くことで
マーケット が暴落することを何よりも恐れているのです。

(これが 国有株の売却問題・・)

そして、まだまだ企業に対する影響力を行使したいというのも政府の
「本音」なのです・・(苦笑)


そこで ETF の登場となります。

実はテキストとして 香港市場の例 があります。

どういうことかと云うと、

1997年7月に「アジア通貨危機」が発生しました。

(このような 歴史 になりつつある出来事を 客観的に振り返ることは
 たいへん重要です!)

この「アジア通貨危機」を受けて、香港市場はその値を大きく下げます。
(投機筋 による猛烈な「空売り」に遭ったのです・・)

香港当局は
株式 を買い支えるため マーケットに介入しました。

その結果、ハンセン指数の約7%(時価総額に比して)もの
「株式」を保有するに至ったのです。


香港当局は保有する「株式」を売却したかったのですが、
マーケットの暴落も防ぎたい と迷います・・。

そこに格好の「出口」として浮上したのが ETF だったのです。

香港当局は 保有する「株式」をハンセン指数に連動する形で
ステート・ストリート に売却します。

ステート・ストリート は、現金の換わりに「有価証券」
(= Tracker Fund of Hong Kong というETF の有価証券)を

交付しました。

Tracker Fund of Hong Kong は99年の11月に上場を果たし、

香港当局は(時間をかけて)
マーケットで 同有価証券 を売却することができたのです。


「買い手は?」

もちろん、個人、法人などの運用者でした。




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