前潟都窪の日記

2004年04月22日(木) 【人畜共生の混沌の国インド�◆�




最初訪れたのはヒンズー教の寺院ラクシュミ・ナーラーヤンである。オリッサ(インド東部の州)形式の寺院を模して1938年に建立された。建物はカーキー色と茶色、白色が基調になっており鮮やかな彩りである。大財閥のひとつビルラが寄進したもので別名ビルラテンプルとも呼ばれている。折りからラウドスピーカーからヒンズーの神々を讃える音楽が流れていた。建物には卍印が刻まれている。祭られているのはナーラーヤン(別名ヴイシュヌ神・・・救済の神)とその妻ラクシュミー(繁栄または幸福の神・・日本に入って吉祥天)である。           

ここでヒンズー教について触れてみると、
 ヒンドゥーはインダス川を元来意味し、後にこの川の流域地方と住民をさす言葉となった。

 ヒンズー教はインド人の持つ教え、およびそれに関する制度・風俗・習慣の全てを意味する。バラモン教を基礎に発展した宗教で仏教衰退後のインドの宗教の主流をなした。

 教理はインドアーリャンがインド本土に移住した太古から持つ「ベーダ」
「プラーフマナ」「ウパニシャッド」に述べられている「我」と「梵(最高存在)」との一致を究極目的とし、これが仏教などの影響をうけて中世的な有神論の展開をみせた。

 ことにインド民族の二大叙事詩「マハーバーラタ」「ラーマーヤナ」、前者の付編「バガバット ギーター」「プラーナ」などが六世紀から八世紀に成立すると、古代神話は整理されて、ビシュヌ、シバ、ブラフマの三神を最高とする一体三神の教理が確立した。

 現在のヒンズー教は前二者を崇拝するビシュヌ派、シバ派と女神ドルーガ
(シバ神の妻)の性力を崇拝するシャークタ派の三派を中心に無数の分派が出来上がっているが、いずれもがアーリヤ人の優位を認め、カースト制度を維持しようとする古来の民族宗教である。

ブラフマーは世界の創造を、ビシュヌ神はその維持を、シバ神はその破壊を司るとされる。8世紀に哲学者シャンカラがでてからシバ派は独立した一派となり全インドに普及した。

 シバはヒマラヤのカイラーサ山に住んで無数の悪鬼を従え、顔は一面乃至五面、首は青く蛇が巻きつき骸骨を繋いだ首飾りをして、槍・弓等無数の武器を持ってるとされる。

 この寺院には金の神様マハカラシミ、愛の神様クリシュナ、力の神様ハルマン、商売の神様で鼻の長いガネーシア(シバ神の息子)などの像が祀られていた。
 ヒンズー教には輪廻転生の思想があり仏教に取り入れられている。

 ヒンズー教では1日2回日の出と日の入りに祈りが捧げられ、神の使いである牛を神聖視するから牛乳は飲んでも牛肉は絶対口にしない。

インドにおいてはカースト制度を抜きにしては何事も理解できない。三千年程前に北インドに進入してきたアーリヤ人は現在のヨーロッパ人とも同じルーツの白色人種系であった。彼らは先住民である肌の黒いドラビダ人を平定してその支配を固めるにつれ、ヴァルナ(肌の色)という身分制度を作りあげた。肌の色による身分の上下区分をしたのであるが、その後更にアーリヤ人の中で社会的職能による区分が設けられた。

 四姓と謂われるバラモン (僧侶)、クシャトリャ(王族と武士)、バイシャ(商工業者)、 スードラ(奴隷)という区分である。このヴァルナ(肌の色)という差別と四姓という区分はジャーティ(生まれ)に因って定められているとする閉鎖的なカースト制度になって定着したのである。

 我々日本人にとってカースト制度の分かりやすい適用は結婚の場合であるインドには恋愛結婚は殆どなく、結婚とは親が決めるものであり、異なるカースト間の結婚は絶対にあり得ない。適例期の男女の両親はお互いの親族の姓名を何代にも遡って調べ且つ比べてお互いに釣り合ったカーストであるか否かを第一の判定基準にしてその結婚の適否を決定するという。インドでは「好きだから結婚する」のではなくて、「結婚してから好きになる」ことが夫婦間の大切な徳目になっているのである。

そして、現実のヒンドゥー社会では過半の民衆がヒンズー教を信奉しておりこのカースト制度を受け入れその内部でそれぞれの分を守ることで生活を保証される面もあり、同一カースト内では互いに助け合う共同体的な機能も果している。民衆はカースト制度の不合理な差別を思い知ってはいてもその根本的な改革のために一直線に立ち向かうだけのエネルギーがまだ蓄えられていないのが現状である。

 成人識字率52%、一人あたりGNP370ドルという教育水準の低さと絶対的な貧困が、土俗宗教であるヒンズー教の普及率82.6%という数字とあいまってカースト制度を温存させている一因と言えるのではなかろうか。因みに、日本の成人識字率は99%であり、一人当たりGNPは38160ドルである。


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