2005年10月17日(月) |
縁日の金魚鉢10-2 |
京浜銀行横浜支店からの帰りに車を追突され、乗り逃げされたことがあるでしょう。そのときの犯人と似ていませんか」 「違いますね」 田所刑事は第一の推理が外れていたことを確認した。田所刑事は、この事件を扱っている横浜中署へ行けば何か手掛かりが得られるかと考え、横浜中署を訪問した。たまたま桑山刑事が在署していて快く応対してくれた。 田所刑事は事件の概要をかいつまんで説明した上で、五菱銀行新宿支店の山本太郎名義の普通預金口座に坂元高志、富士川健一、仲河 勉の名前で振込がなされ、キャッシュカードで引き出されていることを説明した。そして山本になりすました田代が乗り逃げ犯人をゆすり、ゆすられた犯人は坂元高志、富士川健一、仲河 勉という偽名を使って金を山本太郎名義の口座へ振り込んだのではないかと考えてみたと付け加えた。 「なるほど、預金の預け入れも払い出しも何故か顔を見られたくない人達がやっているという臭いがしますね」 「どうです。何か乗り逃げ事件に関して、この預金通帳と結びつきそうな資料はありませんか」 「そうだ。田所さん、今思い出したことがありますよ。実は天川、佐藤事件が起きる前にやはり、同一犯人の犯行と思われる追突乗り逃げ事件が別にもう一件発生しているのです。被害者は早坂工業の社長なのですが、金品はとられていないのです」桑山刑事は番茶を田所へ勧め、自分も飲みながら言った。 「ほう、やはり銀行の帰りに起きた事件ですか」田所刑事は目を輝かせた。「そうなんです。京浜銀行の横浜支店からの帰りに起きているのです。車の盗難届けだけは出されたのですが、その他の被害届けが出されていないのです。我々も連続して起きた似たような手口の事件なので、車以外に金銭を盗まれたのではないかと思って、早坂本人と京浜銀行横浜支店の支店長にも聞いてみました」 「それで」 「ところが早坂は車以外には何もとられなかったと断言しましたし、支店長も当日、早坂は融資の打ち合わせにきただけで、金は下ろさなかったと証言しているのです」 「なるほど、変ですね。早坂が金を盗られたことを人に知られては困る事情が何かあったとするとどういうことになりますかね」 「オーナーの事業家ですから裏金かも知れませんね」 「裏金とすれば脱税の金ですね。これは警察には知られたくないでしょう。そのことを田代が嗅ぎつけてゆすりをかけていた。これは、田代が殺される動機にはなりますね」 田所刑事は目の前の黒雲が一挙に飛び去った気がした。田所刑事は早坂という名前をどこかで聞いたと思ったがどこで聞いた名前であるか思い出せなかった。
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