前潟都窪の日記

2005年11月12日(土) 仮説 小野小町は男であった5

 明日内裏で催される御歌合で、大伴黒主の相手には小野小町と定められたが黒主は到底詠歌では小町にかなわないので一計を策した。小町の私宅に忍び込み、彼女が予め用意した詠歌を口ずさむのを立ち聞きしてこれを万葉集に書き入れ、古歌であり物真似であると讒奏して小町を陥れ奇勝を得ようとするはかりごとである。

 四月半ば、御歌合の会の当日小野小町、大伴黒主、凡河内躬恒、紀貫之、壬生忠岑等の面々が左右に着座して御歌合わせが始められた。紀貫之は帝の命令により小町の歌をよみあげた。
「蒔かなくに何を種とて浮き草の波のうねうね生い茂るらん」
「なかなか良い出来映えの歌だ」と帝はお褒めになった。
「おそれながらこの歌は古歌です」と黒主が抗議した。 
「どの歌集に出ているのですか。作者は誰ですか」と小町はひどい恥辱に黒主に抗議したところ
「万葉集に出ており、作者は読み人知らずです」と黒主がしゃあしゃあと答えた。
「証拠はありますか」と小町が追求すると
「これこの通り」と黒主は懐より草子を取り出して誇らしげに示したので列座の一同は唖然として小町と黒主の顔を交互に見比べたが、小町は悲憤に耐えず敢然と抗議した。
「草子に後から入筆したものと思われますので、清らかな水でその草子を洗ってみて下さるようお願い致します」
「小町の言う通りにしてみよ」と帝の勅許をえて、草子を洗ってみると小町の歌は見るかたもなく消えてしまったので一同目を見張って驚いた。悪だくみが露顕して非常に苦しい立場に立たされた黒主は自害しようと席を立ったが、小町のとりなしで帝が黒主をお赦しになったので小町は面目を施し聖代と和歌の道を讃える舞を舞って御歌合わせの会は終了したのである。


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