世にもいい加減なネバーエンディング海外ドラマ
DiaryINDEXpastwill


2001年10月16日(火) 善良な魂 5

          アルの車の中。マクダウェル家へ向かっている。
  
プルー  「ごめんなさいね、うちの妹。フィービーなんだけど、・・・あまり関わらないで、
      放って置いてくれていいから。」
アル   「え?」
プルー  「あなた、ソフィーとつきあってるよのよね?」
アル   「そうだけど。(意図がわかって)あぁ、プルー、心配しないでいいよ。
      ボクは、ただの歯医者さん。今日もソフィーの事で、相談があるって言うから。」
プルー  「(ドアのほうに顔を向け、つぶやく)そういうのが、入り口なのよ。」
アル   「え?」

プルー  「いえ、あぁ、それより、あなたは、ヘンリーの家には独立してからも、よく行くの?」
アル   「行くけど、どうして?」
プルー  「会ったばかりで、しかもこんな時に、立ち入った話で申し訳ないんだけど、重要な事なの。」
アル   「何?あぁ、さっき言ってた話ってそのこと?」
プルー  「そう。・・・(思い切って)ランディ、つまりあなたのお父さんから、
      お母さんの形見の宝石類を、オークションハウスに売るように頼まれたの。」
アル   「オークション?!」
プルー  「私、そこで、働いているの。あ、一応名刺を渡しておくわね。」
アル   「あぁ。」

プルー  「実は、今日、見せてもらったの。代々受け継がれたもの、とても大切に。
      ・・・だから、本当にいいのかしらと思って。」
アル   「どうなんだろう?」
プルー  「リサに聞くには、そばにランディがいるし、ヘンリーは診療所でてんてこまい。
      それで、ずっと生活を一緒にしているわけじゃないあなただからこそ、
      聞いてみたら何かわかるかと思って。・・・ここ最近のお父さんの様子ってどう?」

アル   「(少し嫌な気持ちになる、またそのことか?)それは、ここにいた頃?
      サンディエゴにいて、行方不明になる前?それとも。」
プルー  「(慌てて)気に触ったのならごめんなさい。でも、大切な事なの。
      リサも、手放すとは思わなかった、って言ってるの。それなのに。急に。」
アル   「・・・」

プルー  「ねぇ、考えてみて。奥さんが亡くなって、しばらくして行方がわからなくなって、
      突然現れた時、彼はあまりにも変わっていなかった。
      そりゃ、もちろん少し憔悴していたけれど、思ったよりそうじゃなかった。
      そう感じなかった?」
アル   「・・・そうだね。正直、行方がわからなくなった時は、もうダメかと思ったよ。
      実は、遺書めいたものがあったしね。」

プルー  「遺書めいたもの?」
アル   「そう。(暗記している詩の一節を読むように)
      『君のいないこの世は、全ての輝きを失ったようだ。この世では、
       もう生きている気がしない。寂しくてたまらない。』」
プルー  「それって、死ぬつもりだったかもしれない、ってこと?」

アル   「(明るく)でも日記だったんだ。だから、希望は捨てなかった。そして、親父は現れた。
      ・・・だけど、そうだな。突然帰ってきて、何も聞かないでくれっていうわりに・・・。」

プルー  「・・・?(彼の話をもらさず聞いている)」
アル   「もし、その間に気持ちの整理をつけたとしてもだ、いくら気丈な親父でも、
      あの歳で、半年をどうしていたのか、聞けないからわからないんだけど、
      あまりに普通だったかもしれない。」
プルー  「普通・・・。」
アル   「そう、まるで、何もなかったように。最初は、ショックのための一時的な軽い記憶障害
      かと思った。都合の悪いところだけ、忘れてしまうっていうやつだよ。
      でも、そうじゃなかった。その次に考えたのは、みんなが心配するといけないから、
      そう振舞っているんだと思ってたけど・・・。」

プルー  「そうね。そういう人だもの。でも、突然リサにあのケースを探させて、売るって。
      それで、今朝お会いしたわけなんだけど、なんだか、変な感じがしたの。」

アル   「変?」
プルー  「うまく説明できればいいんだけど、ねぇ、あなたのお母さん、
      オークションに出したがっていたりしたの?」
アル   「いや、それは、初耳だな。母がオークションに興味があったなんて。わからないけど。」
プルー  「あなた、それを見たことは?中に、真珠のついた十字架があったんだけど、見覚えない?」
アル   「いや、宝石類だからね。特に僕ら兄弟に見せて喜ぶもんじゃないと、母も思ってたんだろう。
      リサが来てからは、出してきては、話しをしたりしてたみたいだけど、
      ・・・とにかく、大切にしていたことは、確かだ。それをオークションに
      かけようとしてたとは、とても思えない。想像つかないよ。」

プルー  「お父さんね、そばにあると悲しいって。」
アル   「わからなくもないけど、それじゃ、何のために半年もいなくなってたんだい?
      その半年がダメになるほど、あの宝石が、母さんを思い出させるって?
      違うな。母さんを思い出すものは他にもたくさん、家中にある。」
プルー  「そうよね。(ため息)売ってしまってから、やはり、おいておけばよかったと、
      思われるかもしれないわよね。」
アル   「そうだね。それ以前に、売るなんて、考えられない。形見分けするならまだしも。」
プルー  「そうね・・・」

アル   「プルー、その話、ちょっと保留に出来る?それに、もう家だ。」
プルー  「ええ。私もそう思って、上司には報告してないの。もちろん、保管は会社で
      きちんとしているから、安心して。」
アル   「プルー、やっぱり、リサが母から何か聞いてるかもしれないから、       
      話してみる機会をつくってくれないかな?」
プルー  「そうね。あ、それから、このことは、ランディには内緒に。」
アル   「もちろんだよ。」

       マクダウェル家の玄関に着く。       
       数分後、アルはアルの車で。
       ランディ、リサ、はヘンリーの車に乗る準備がすむ。


リサ   「マイケル、プルーとお留守番できるわね?」
ランディ 「そりゃ、できるよな。」
マイケル 「もちろんさ!」
リサ   「(プルーに)ごめんなさい。こんな事まで頼んで。急だったものだから。お願いね。」
プルー  「いいのよ。」
ヘンリー 「あんまり、甘やかさないでいいからね、プルー。」
プルー  「ええ、わかったわ。心配しないで、気をつけてね。」

       2台の車が車道に出るのを見送る、プルーとマイケル。
       マイケルは無邪気に手を振り、車が門を曲がると、家に入りドアが閉まる。
       窓越しに、遊ぶ笑顔の二人が見える。


つづく


moto |M@IL日常こんな劇場(^▽^)ノネェネェd(@^∇゚)/前向きに

My追加