世にもいい加減なネバーエンディング海外ドラマ
DiaryINDEX|past|will
数時間後、マクダウェル家。携帯電話をかけているプルー。 そばで、マイケルが簡単なプラモデルをつくっている。
プルー 「パイパー?私よ。もうすぐ、お店、出られそう?」 パイパー(声) 「ええ、そうね、あと少しで、どうしたの?」 プルー 「さっき、リサから電話があって、もうすぐ戻ってこられそうなんだけれど、 帰りに送ってもらうのは無理かもしれなくて。」
クエイク。カウンターで、帳簿をつけながら、電話しているパイパー。 それを、店じまいが終ったテーブルの一つに座って待っているフィービー。
パイパー 「いいけど。フィービーも一緒なんだけど。」 プルー(声) 「まだいるの?」 パイパー 「それがね、プルー、実はフィービー、予知したの。」
ハリウェル家。プルーの反応に驚くマイケル。
プルー 「なんですって?!どこで?!何を?!」 パイパー(声) 「店で」 プルー 「(驚くマイケルに気づき、声を落とし)とにかく、来て。それに、大丈夫なの、 アルのことなら、彼が来られないから、送ってもらえないかもしれないのよ。 そんなことより!」
クエイク。パイパーの言葉に、テーブルを立ち、帰る用意をするフィービー。 帳簿を片づけながら電話で話すパイパー。
パイパー 「例の、ほら、3人の男の人いたでしょ? あのうちの一人にフィービーがぶつかった拍子に、見えたらしいんだけど、 ・・・(プルーにせかされたよう)あぁ、うん。すぐ出るから。わかってる。 とにかく、夜の間は大丈夫そうなの、だから、とにかく迎えに行って、 詳しくは帰りに話すわ。」
同じ時刻。教会の外。中から出てきたヘンリーは、先に出ていたアルを見つけ。
ヘンリー 「アル!父さん見なかったか?」 アル 「いや。まだ、中なのかな?昔馴染みや、患者さんが結構来てたし・・・。」 ヘンリー 「それが、中にはもういないようなんだ。おかしいな。もう一度見てみるか・・・。」
二人で、教会の中へ入る。 一方、パイパーの運転でハリウェル家に向かう途中。
パイパー 「ねぇ、フィービー、こっちでよかったよね?」 フィービー 「あ、そこ、入ったほうが、早いんじゃなかったっけ?」 パイパー 「本当?」 フィービー 「だいぶ前のことだけど、なんか、見覚えある感じだから。」 パイパー 「(不安げに)じゃ、曲がるわよ。」
二人の乗る車が大通りから、中道に入ろうとする、まさにそのとき、 その中道の途中にある4階建てほどの倉庫のような建物の屋上。 魔物に追い詰められている、男。まだ、へりまでは、距離がある。 魔物の姿は、人間の男のようだが、青白い光に包まれ、人相は、はっきり わからない。ただ、眼光だけが、射るように、炎のような光を発している。
魔物 「死にたがっていたんじゃないか?もう、俺はダメだって、死にたがっていただろう?」 男 「確かに、この間、私はガンかもしれないと思っていたんだ。そのときは そう言ったかも知れん。しかし、なんだって、あんたがそれを知ってるんだ?」 魔物 「(不敵な笑みを浮かべているように見える)」 男 「(我にかえり)ここは?さっき、あんたに声をかけられたのは友人と別れた舗道だった。 いつの間に?(恐ろしさが増し)何だ?お前は何だ?ここはどこなんだ?」
魔物 「君の死に場所だ。」 男 「?!・・・こんな場所、知らんぞ。」 魔物 「私が選んで恐縮だが、君の死に場所だ。」 男 「そ、それに、今日わかったんだ。私はガンじゃなかった。もう、自殺しようなんて、 馬鹿なことは考えていないんだよ。」
魔物 「勝手だな。」 男 「勝手・・・そうかもしれんが、あの時、思わず動揺して、口走ってしまっただけで、 もし今日の結果が、ガンだったとしても、とうてい自殺なんてできなかった。」
魔物 「そうだな。できなかったろう。だが、君は、一度ならず、その口で『死にたい』 とつぶやいた。友人にも話した。私にもその甘美な声が聞こえたんだよ。」 男 「甘美・・?お前、本当に何者なんだ?どうしてそれを聞いたんだ? どうやってここへ連れてきたんだ?どうして私なんだ。」
魔物 「今更、止めるなんて、都合が良すぎるとは思わないか?」 男 「今更って、誰だって、生きてりゃ、つらい事や耐えられないことの一つはあるだろう? いけないとわかりながら、つい、そんなことも考えてしまう。 しかし、大抵は気づいて止めるのが普通だ。まだ生きられるんだから。 お前は何を言ってるんだ?」
魔物 「だからここに、私がいるんだがね。わからない人だ。君はまだ生きられる。 だから、いただくんだよ、君の魂を。」 男 「何のことを言ってるんだ?」 魔物 「君はあの時、願ったとおり、自殺できるんだ。望みのままにね。」 男 「だから、今はもう望んでいないと言っている。それに、生きられるといっても、 そう長いわけじゃない。だからこそ、大切に生きようと、思い直したんだ。」
魔物 「まだ生きられる、君くらいの魂。それが私には丁度いいんだよ。 死を望んだ君の続きを、この私が、生きるんだ。」 男 「悪魔なのか?お前は?なんなんだ?どういうことなんだ? 近づくな、それ以上近づかないでくれ!」
叫びながら、あとずさる男。魔物の迫力に、その場に座り込む。 魔物は、かっと目を見開いたかと思うと、青白い光に包まれた体の中から、 右手を伸ばすと、男から、魂を抜き取り、自分の胸に収める。 まさに悪魔的な、至悦の笑み。 衝撃を受け、横たわった男の体ははかなく宙に浮かび、ビルから飛び降りるように 投げ出される。
その少し前、パイパーとフィービーの選んだ道は行き止まりだった。
フィービー 「うそー!行き止まり?!だめじゃない。」 パイパー 「だめじゃないって、あんたが言ったんだからね。」 フィービー 「(後ろと、道幅を確認している)」 パイパー 「早く来いって、プルーには言われてるし、実際、あんたの予知の事、 早く相談したいのに!」 フィービー 「はい、はい。そうなんだけど。(悪びれず) ねぇ、これ、バックで出れるかな?長―――!」 パイパー 「運転してるのは私なんですけど!もう、フィービー、ちゃんと見ててよ!」
バックしだす二人の車。二人とも後ろを見てる。そのバックする車の ヘッドライトの先に物体が落ちる。鈍い音。
つづく
My追加
|