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kai
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2025年08月02日(土) ■ |
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『キャプテン・アメイジング』『みっつ数える前にあんたは… ひとつめの夜』 |
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『キャプテン・アメイジング』@シアタートラム
モノローグではなく登場人物たちのダイアローグ全てをひとりで語る。これは難物なホンだなと思いつつ観ていたのだが、最後の最後、それらの対話が悲しみ、戸惑い、怒りをもってひとりの人物に襲いかかる。演者の熱量に完全に持っていかれる。不思議な余韻を残す作品でした 『キャプテン・アメイジング』
[image or embed] — kai (@flower-lens.bsky.social) Aug 3, 2025 at 1:22
ラストシーンで「ああ、全てのキャラクターの言葉をひとりに語らせたのはこのためだったのか!」と心がリリースされるような感覚があった。「スーパーヒーローに扮する一人の男とその娘の、たった6年間の胸が張り裂けるような冒険の物語」。アリスター・マクドウォールの戯曲を田中麻衣子の演出で。
客席後方から登場した男は、観客にちょっとした話をする。暑いですね、水分補給してますか? 大丈夫ですか? 水飲んでくださいね。僕も飲みますんで。……ラムネの瓶に入っているあのガラス玉、なんていう名前か知ってますか? ……エー玉っていうんですって。ほんとですよ、帰ったら調べてみてくださいね。観客からちょっとした笑いが起こり、場が和む。マントを羽織った彼の物語が始まる。
とにかくせわしなくストーリーが進む。ぎこちない男女の出会い、娘の誕生、キャプテン・アメイジングの戦いの日々が、細かく刻まれたシーンの連続で差し出される。目まぐるしく交わされる対話をひとりの演者が全て語る。男性らしい言葉、女性らしい言葉、幼女の、スーパーヒーローらしい言葉。声音と仕草を変えることで演じ分ける。うーん、“ひとり芝居らしいひとり芝居”だな、とちょっと退いて観ていた。ところが、だ。
対話によってやがて見えてくるのは、このカップルは歳が離れているということ。男性の方はまだかなり若いということ。子どもができるのは想定外だったこと。娘が幼くして病に倒れ、死が目前に迫っていること。視覚として不明だった登場人物の属性が対話で明らかになっていく。構成の妙に唸る。数年のうちに話し、聞いたであろうあらゆる対話が、娘の死を前にしたキャプテン・アメイジングの心で決壊する。このための膨大な言葉だったのか、と気付く。
キャプテン・アメイジングの心象風景のようなパースの室内(美術:山本貴愛)、ベビーメリーの響きで表現される娘の誕生とその声(音響:鈴木三枝子)が素晴らしかった。カラコロという、文字通り鈴の転がるような音と対話するキャプテン・アメイジングの表情と仕草。娘が壊れないように、娘を慈しむように。美しいシーンだった。
さて、いわれた通り、帰宅後エー玉について調べてみた。デマだという説がある。しかし実際にA玉、B玉という言葉が使われていたという人物の証言もある。そして、興味深いコラムを見つけた。
・ビー玉とB玉┃化学教育 徒然草 インターネットを使うと情報は簡単に集めることができる。しかし,かなりの時間を使って自分で考えないと,内容を誤解し,正しく理解できないことがよくわかった。
日替わりのアドリブだろうかと笑ったエー玉の話は、キャプテン・アメイジングの6年間を暗示するかのようなものだった。ひとひとりの人生は複雑なもの。表層だけで理解することなど出来やしない。
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平岩紙さんとのふたり芝居『あたま山心中』が素晴らしかったので、極限迄出演者を絞った=ひとり芝居の近藤公園さんを観てみたかった。今回その願いが叶ってうれしかったです
[image or embed] — kai (@flower-lens.bsky.social) Aug 3, 2025 at 1:23
『あたま山心中〜散ル、散ル、満チル〜』での近藤さんの狂気がかなり魅力的だったんですよね。今回その狂気がまた観られた。目がいい、目が。無精髭、バサッとした髪というルックもよかった
・入場するとRadioheadの「Just」がかかっていておおっとなる。これは作家の指定なのか、演出が選んだのか気になるところ
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O.L.H.(Only Love Hurts a.k.a. 面影ラッキーホール)『みっつ数える前にあんたは… ひとつめの夜』@Shibuya WWW
ハシゴでO.L.H.(Only Love Hurts a.k.a. 面影ラッキーホール『みっつ数える前にあんたは・・・ ひとつめの夜』。完全復活とかいわれてるけどヴァイナルリリースのプロモーションなんで〜とかいってたがなんかもう寄らば斬るくらいの凄みがあった。演奏もキレッキレで腰が抜けた
[image or embed] — kai (@flower-lens.bsky.social) Aug 3, 2025 at 1:53
仕上がってます! 最高!
「Whydunit?」「typical affair」「On The Border」アナログ・レコード化!ということで、3回のライヴが決まっています。まずはひとつめの夜、『Whydunit?』のナンバー+α。
ステージぎゅうぎゅう、ついつい数えてしまったが13人もいる。ギターが3人もいる。西村さんとGUNちゃんは昔からいるけどもうひとり誰? ホーンも固定メンバーじゃない筈だけど誰? パワーがあって、鋭利で、ビシバシアタックがキマるんですけど!? アッキーが「ビブラストーンがふたりもいる!」といっていたけど、それがホーンのみのことなのかドラムの横銭さん含めてのことだったのかがよくわからん。メンバー紹介もしてくれないのでどなたですかという……もともとホーンは各々のスケジュールに合わせて流動的ですが、これからの3本のライヴにはいてほしい! と思う強力な音でした。
唯一ちゃんと紹介されたメンバーは、2020年に亡くなった曽根ちゃんの後任、伊藤隆博さん。「キーボード伊藤ちゃん、かっこいい!」とアッキー。ゆずや堀込泰行さんのサポートをされている方だそうで、「こんなにちんこちんこばっかりいってる(SNSには「下ネタが多い」って書いてぼかしたけど、正しくはこうです)バンドだと知られた今、次もやってくれるかわかりません」というアッキーに「ちんこ大丈夫です!」と力強く答えてくれて心強い。せめてあと2本はいてください…お願いします……。
そう、アッキーっていつもひとを煙に巻くような態度だけど、こういうところすごく礼儀正しいし筋が通ってる。ちんこちんこばっかりいってるから説得力ないかもしれんが。「パチンコやってる間に産まれて間もない娘を車の中で死なせた…夏」のイントロや間奏で「曽根ちゃんの曲!」「今日誕生日!」とちゃんと曽根ちゃんのことを話してくれた。歌詞がああだし、すごく残酷なこともいうし、ちんこちんこばっかりいってるけど、時折顔を出すマジはこちらの欺瞞を暴いてくれる。属性のコール&レスポンスのくだりなんて感動してしまったよ。最後の最後、本当にあかんやつの属性(というか病)がコールされたとき、「それは本当にあかんやつ」とザワっとしてレスポンスしなかった客も筋の通った大人だ。試されてる。
それにしてもいつもいってるが曲がいい、歌詞がいい。演奏がいい、歌がいい。徹底的なリサーチのもとに磨き込まれた歌詞、手練のどファンク演奏、その上を自在に泳ぐ美声。こんなに素晴らしいのに、滅多なことでは人を誘えない。終演後「フェスだと通りがかった人がけしからんとか動画アップして一気に炎上しそう」「SNS怖い」という話をした。“一部の人に理解される”アンダーグラウンドの魅力というのは、それこそ表層で解ったような気になっていると身を滅ぼす。一介のリスナーでも、その覚悟はある。
「東京(じゃ)ナイトクラブ(は)」の歌詞、青山通りが骨董通りとなっていた。となればそのクラブはマニアックラブしかない。勝手に確信してしまい、シンカワくんのことを思い出して泣いてしまった。頻繁にクラブ通いをしていた頃、既にスターDJだったシンカワくん。訃報は急だった。面影と縁があったかは知らないし、シンカワくんはマニアックラブ以外でもあらゆるところでDJをしていたし、たまたまだ。数多くのリスナーひとりひとりの人生にするりと入り込んでくる音楽。Only Love Hurts a.k.a. 面影ラッキーホールの真価を(勝手に)見た思いだった。
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FAの小林私さんもすげーよかったです。アコギを掻き鳴らし、がなるように唄う。格好いい! 「今夜、巣鴨で」「夜のみずたまり」のカヴァーも聴かせてくれました。「配信で『面影ラッキーホール神〜!』とかいってカバーとかしてたらオファーが来て、こんなことある? めちゃめちゃ緊張してます!」ともはや逆ギレの様相。楽屋でいくつ〜? ご両親の年齢は〜? とか聞かれていたたまれなかったそうです(微笑)。アッキーがお父さんと同い歳だったとかなんとか。「そんな若くもないのに若〜いっていわれて!」ってキエーとなってたけど、いやいや面影リスナー層からすれば若いわよ。何きっかけで面影知ったのか気になる。
客入れBGMがスーパーで流れてるオリジナル曲セレクションだったのすごく面白かった! 買い物圏外のスーパーがそれぞれ違うので、これはサミットだ! マルエツだ! と教え合ったりしてた(笑)。あと呼び込み君のあの曲がかかったときはどよめきと笑いが起こった。呼び込み君人気者だね
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