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| 2025年11月12日(水) ■ |
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| 『ぼくらはここにいる パール兄弟2025』 |
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『ぼくらはここにいる パール兄弟2025』@Shibuya CLUB QUATTRO
オリジナルギタリスト(って呼称あるのか)による「Self Control」と「Get Wild」が聴ける日が来るとは〜レコーディングにまつわる貴重な話も沢山聞けた〜 #パール兄弟 #小室哲哉
[image or embed] — kai (@flower-lens.bsky.social) Nov 13, 2025 at 0:59
----- パール兄弟(Vo:サエキけんぞう、G:窪田晴男、B:バカボン鈴木、Drs:松永俊弥) Support G、PC etc.:米内山尚人 Guest Key:小室哲哉 -----
新譜『ぼくらはここにいる』リリパ、かつ来年の40周年(!)を渋公で迎えようプロモーション。なんですが、今回の目玉はなんといっても小室さんがゲストというところでしょう。ビックリした! クアトロで小室さん観られるとかすごくないか。TM Networkの「Self Control」「Get Wild」のギターを窪田さんが弾いているという縁から今回の企画が出たようです。サエキさん曰く「小室さんが『恩返しがしたい』って。あのひと『あのときはお世話になりました』『恩返しがしたい』が口癖ですよねもう」「すごい腰の低いいい方ですよ!」。またそういういい方する〜。
これなー、個人的には長年モヤモヤしてた案件だったのです。わたくしTM Networkは5枚目のアルバム『humansystem』迄はガッツリ聴いていて、人生で初めて買ったCDは『Gift for Fanks』な人間なんですよ。東海ラジオの『SF Rock Station』も毎週聴いてたんですよ。小室さんがプロデュース業で大大大ブレイクし、TKと呼ばれ出した辺りから遠ざかってしまいましたが。あ、でもGlobeはデビュー当時観たな…これ教授も出てたし……。
で、リリース当時「Self Control」のギターは窪田さんだとちゃんと名前が出ていたんですね。「贔屓と贔屓が共演!」(当時は推しという言葉などない)とか喜んでた訳です。ところが「Get Wild」はどこを探しても演奏者のクレジットが見つからない。「あの音は絶対窪田さんだろ? 何で名前出さないの? 大人の事情でもあるの!?」とずーーーーーっとモヤモヤしてたんですよね……。そのうち松本孝弘だという噂だけが大きくなり。当時TMに関わっていた主なギタリストといえば松本さんと北島健二で、音からして北島さんではないだろうと。いやいやいや窪田さんでしょ! とずっと根に持っていたのです。我乍ら執念深い。
・小室哲哉「Get Wild」を語る(2017年)┃サンレコ ・アニメ×音楽の常識を変えたTM NETWORKと「シティーハンター」のコラボ<後編>(2019年)┃Cocotame 窪田さんの名前が出だしたのはここ10年てとこでしょうか。
・【実話】「Get Wild」のギタリストがアスファルトタイヤを切りつける音に敏感だった話(2021年)┃ロケットニュース24 おまけ、今回検索していて見つけた。こんな記事あったのか(笑)。
まあ当時は小室さんも忙しかっただろうし、数年後はもっと忙しくなるし、その後色々ありましたし、窪田さんは窪田さんでスタジオミュージシャンとして弾いた楽曲は1000曲はくだらないようなひとなので、お互い細かいところは憶えていないようでした。以下その経緯などをメモ。記憶で書いているのでそのままではありません。話が前後していたところもまとめちゃってます。サエキさんに倣い「Self Control」=「セ」、「Get Wild」=「ゲ」で表記します。
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窪田:(いちばん最初の接点は)おニャン子クラブに小室さんが楽曲提供して、そのギターを僕が弾いたんですよ。業界用語でインペグ屋と呼ばれているスタジオミュージシャンの紹介所から、「このスタジオに○日の○時に来てください」といわれて。 サエキ:とっぱらいでギャラが出るんですよねー。 窪田:「セ」もインペグ屋さんの紹介で。再会して「ああ、あのときはどうもどうも」とかいって。スタジオに入ったときまだ小室さんは来ていなくて、譜面渡されて「適当に好きにやっててくださーい」とか(ディレクターに?)いわれてカチャカチャやってたら……。
小室:僕が着いたときにはほぼ出来てましたよね(リフとかフレーズのアイディアのこと?)。テイクもそんなに重ねなかった、3〜4回ってところじゃなかったかな。あの「チャカチャーン」が僕らを救ってくれました。窪田さんのおかげです。 サエキ:何をおっしゃる! 小室:いや、ほんとに。僕らepicに所属していたんですけど、アルバム3枚出してもヒットが出なくて、次がダメならもう契約切られるってところで。崖っぷちだったんです。 サエキ:崖っぷち! 『カイジ』でいうと鉄骨渡りですね! 小室:『鬼滅の刃』で言うと無限城の底の底の奈落ですね。 (喩えの違いに笑いが)
小室:あの「チャカチャーン」は「チャカ」と「チャーン」を別々に録ってるんです。音を左右に……3時と9時の方向っていうんですけど。移動させて鳴らしたかったので。あのときは「セ」をシングルにするかも決まってなかったんです。結果ヒットして「ゲ」に繋がりました。 窪田:今はいっぺんに録ったあと編集出来ますけどね、コンピュータで波形とか見られない時代でしたから……。当時のデジタルサウンドでの音づくりは、TMとTo Be Continuedが頭抜けてました。 (そうなんだー!(窪田さんのいうことは大概鵜呑みにする)) サエキ:1986年ですね! その頃私たちは『鉄カブトの女』をやってました!(ウケる)
小室:今日はチャカチャーンはやってくれないの? 窪田:やー、ライヴでやるのは難しくて……(笑)ギター一本で音を振るのは。違うアレンジにしました。 (これがまたえれえ格好よくてな! いいもの聴けた)
小室:「ゲ」のギターもね、あれを弾けるのは窪田さんしかいませんね。4つの音階を16分音符で。 (アレな!) 窪田:いや、そんなことは……(謙遜)。
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サエキ:まっちゃんはね、渡辺美里さんとずっとやってるもんね。 松永:9日で僕最後だったんですよ(ツアーのこと?)。 小室:僕の話出ました? 松永:はい。『eyes』とか『ribbon』の完全再現とかもやってるんですよ。皆でわいわいどうやろうかって相談して作っていて。楽しかったです。
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バカボン:僕もインペグ屋さんからの紹介で、面と向かっては会わないままじゃなかったかな? 曲名もまだない、誰が唄うのかも知らない状態で、「Ring M-1」みたいな仮題が書いてある譜面だけ渡されて。こっちもギャラがもらえればいいやって感じで弾いて帰って、完成したものも知らないままで。 小室:台湾のアーティストですね。結構売れたんですよ。 バカボン:そのあと『リング』って映画が大ヒットしたのよ。あの怖いやつ。「えっ、これってあのときの……!?」ってしばらく思ってた時期があった(笑)。(アーティストの)Ringって知ったのはかなり後になってからでした。
サエキ:私はEUROGROOVEで英詞を書かせていただきました! その節は有難うございました!
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という訳で全員と接点あったんですね、窪田さんと松永さんのことしか存じ上げませんでした。こういう企画があると俄然サエキさんが張り切って、あれもいわなきゃこれもいわなきゃって感じで喋りまくってものすごい勢いで片付けようとするので、小室さんに失礼はなかったかと心配になる。段取り魔ですからね……全部やろうとするから逆にやっつけ仕事みたいに見えちゃうんだよ。今になって気付いたがサエキさん「何いってんの(早口)」が口癖だな。
小室さんがテキパキとセッティングしてるときも、窪田さんは「いや〜、見てて惚れ惚れするよね。料理人みたい」とかいってたんだけど、サエキさんはまだですかみたいなこというし。なんか手弾き分とループに乗せる分のパターンをつくってたみたいで(あとアナログシンセのあたためみたいなことやってた)、「延々やっちゃうんで始めちゃってください」とか小室さんが答えたら「はいっ、それじゃやりましょう!」みたいな受け答えでな。そこ迄詰め込んでも終わってみれば3時間。濃かったわ……。
共演曲は「セ」と「ゲ」、それだけかと思っていたら、レコーディングにも参加した『ぼくらはここにいる』から「RUN-NEW バックステージ」、そして「快楽の季節」にも参加してくれた。演奏に夢中なシンセ小僧(少年といいなさいよ)っぷり、プログレ大好きなのが伝わる。いいもの観た……。そうそう、サエキさんの声がところどころ宇都宮さんに似ててビックリした。「アスファルト〜」のタンギングとかそっくり! 寄せて唄ってたのかも知れないけど新しい発見。
衣装も合わせてくれて有難い話です。ひとりだけリボンタイしてたところがアクセントでしたね、似合ってた。これに懲りずにまた機会がありましたら宜しくお願いします……。
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ゲストがゲストなのでその話に終始しそうになるが、パール本体の話もちゃんと書き残しておきたい。バンドにとって結構重要なライヴだった。以下おぼえがき。
・アレンジ変更に伴い骨太な演奏が増えた。「TRON岬」前にバカボン、「ZOO・ZOO・ZOO」前に松永さんの長尺なソロ。ツェッペリンやクリムゾンを彷彿する! おお〜ロックバンドだ
・矢代さんが亡くなったことで方向転換を余儀なくされたという面もあるかも知れないが、勿論それだけでは済まさない。ライヴでの音作りに困り果ててた窪田さんが、昨年ゲストで来てくれたイマサと演奏して「ギター2本でやるのもありか」と気付かされ、今回サポートに米内山尚人さんを迎えたとのこと
・矢代さんが亡くなったのは2022年9月。翌年追悼ライヴを行い、イマサがゲストに来たのはその一年後。ここに辿り着く迄まるまる2年。そこから一年かけて今のサウンドになったということか
窪田:80年代に出した楽曲を今のバンド編成で、今の音響にするのがたいへん。これはウチに限らず当時の音づくりがそうだったんだと思う。CD持ってたら聴き比べてみて。全然違うから! サエキ:ずーっとやってましたもんね、あーでもないこーでもないって 窪田:竿(ギターやベースといった「竿物」のこと)だけでやれるのかって…… サエキ:竿! まあ男の人は皆1本は持ってますけどね(ここでこういうネタをかましてくるサエキさんウザい・笑) 窪田:まあひとりで夜中にカチャカチャやってるだけだけどね…… 松永:(窪田さんが)自由に泳がせてくれるから僕はそんなにたいへんではなかったです
・で、新譜のレコーディングにもそれは活かされたと
・ライヴでギターが2本あると窪田さんの負担も多少は軽減。とはいうものの曲毎のセッティングがたいへんで間が空く。足元見えなかったけどエフェクターもかなりあったのでは
・米内山さんがソロを弾く場面も結構あり、カッティングに専念する窪田さんを堪能出来た。いやーホント最高よね、このひとのカッティング……米内山さんはギターの他にもPCやシンセを担当し、貢献度高かったです
・メインギターはYAMAHAのPACIFICA。そうそう、1曲だけ(だったかな)テレキャスだったけどそれでカッティングはしないところが興味深いというか、窪田さんのカッティングってやっぱ独特よなあ。大好き♡
・リズム隊はのびのび、バンマスたいへん。特にバカボンは傍若無人。今回バカボンはスティックなしで、ベースはプレシジョン一本。これがえれえ迫力で。ディストーションのかかりっぷりがすごい。好きにやってましたね
・とはいうものの、リリパにつきライヴ初お披露目の曲も多く、既存の曲もアレンジが変わっているので緊張感があった。松永さんが「足攣ったんで薬服んでもいいですか」って。サエキ「漢方ですか、お水ありますか?(テキパキ)」
・あっ、それはツムラの68番だろう!(わかる)
・松永さんは指も切っちゃったみたいで、サエキ「絆創膏ありますか、液体絆創膏(品名いったけど忘れた)ありますよ(テキパキ)」松永「それしみるからやだ」サエキ「しみるから治るのが早いんですよ!(テキパキ)」松永「そうなの?」サエキ「あっ、絆創膏来たみたいですよ!(テキパキ)」。松永さんはいつでもいつもの松永さんだね……(にっこり)
・「TRON岬」や「青いキングダム」で、あのシンセの音が聴こえないことにはまだ慣れないけど脳内補完してる。矢代さん見守ってちょうだいね
・新譜『ぼくらはここにいる』のアートワークには矢代さんもいるのです
・来年40周年、バカボンが古希、という話からしみじみしだす
バカボン:ロックなんて30でやめるもんだと思ってたのに……福生のライヴハウス出てた頃、30でも未来を夢見てミュージシャン続けてるひとみてええ〜とか思ってたのに。でも俺パールでデビューしたとき30だったんだよね(笑) サエキ:僕ら(他のバンドで一度デビュー〜解散後にパール始めたから)デビュー遅かったですからね バカボン:俺らが生まれた頃の平均寿命、63(だったか?)歳だったんだよ! 50周年なんて80だよ。50周年出来るかな〜 ・出来ますように
・故人の話。「地上げ屋ストンプ」はホントは坂本龍一プロデュースでやる筈だったけど流れちゃったという話(楽曲には参加してますね)
・こういうときサエキさんのカラリとしたものいいには救われる。勿論悲しみも悼む気持ちもあるんだけど「ひとは死ぬ! 自分もいつか死ぬ! はい、自然の摂理!」みたいなカラリとしたところがあるのは理系のひとだからなのだろうか。しかし彼は詩人でもあり、誰にも書けない言葉を書けるひとでもある
・本当に不思議なバンドで、比べるものがないバンド。だからフォロワーといえる存在もない、唯一無二のバンドです
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setlist(ツチノタミさんのツイートより引用。シェア有難うございます!)
01. 世界はGO NEXT 02. 江戸時代の恋人達 03. 火の玉ボール 04. MAGネティック (バカボンベースソロ) 05. TRON岬 06. イノセントグレイ 07. 青いキングダム 08. 君と映画 09. タンポポの微笑み 10. です not DEATH 11. 色以下 12. 夜間押しボタン式 13. ぼくらはここにいる 14. ゴム男 (松永ドラムソロ) 15. ZOO • ZOO • ZOO 16. Get Wild feat. 小室哲哉 17. Self Control feat. 小室哲哉 18. RUN-NEW バックステージ feat. 小室哲哉 19. 快楽の季節 feat. 小室哲哉 encore 20. バカヤロウは愛の言葉
3時間超えだけど20曲か、話が長いんだな(笑)。いやいやお話楽しいしセッティング時間かかるし休み入れつつやらないとね!
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我乍らいい瞬間を撮ってた(動揺のあまりピント合ってないが)
[image or embed] — kai (@flower-lens.bsky.social) Nov 13, 2025 at 1:10
窪田さんと! 小室さんが! 寄り添っている!!! サエキさんが「撮影拡散オッケーです、バンド存続のために(宣伝)宜しくお願いします!」とかいってウケてたんだけど、そうよなちゃんと許可出さないと色々ややこしくなるのでしょう。普段洋楽とかインディーベースのとこばっか行ってるから我に返ったわ、この辺りはおおらかだからな。 --- 小室:サブカルチャー?(実際「?」がつくニュアンスで話してた)のひとたちとあまり交流ないので新鮮です サエキ:いやあ、メジャーな仕事もやっているんですが、そうですね、はい、サブカルですね! --- というやりとりには笑いました。
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