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2025年11月08日(土)
O.L.H.(Only Love Hurts a.k.a. 面影ラッキーホール)『みっつ数える前にあんたは・・・ ふたつめの夜』

O.L.H.(Only Love Hurts a.k.a. 面影ラッキーホール)『みっつ数える前にあんたは・・・ ふたつめの夜』@WWW

O.L.H.(Only Love Hurts a.k.a. 面影ラッキーホール『みっつ数える前にあんたは・・・ ふたつめの夜』ひとつめの夜からホーンの入れ替わりがちょっとありましたが鉄壁のアンサブルでした。歌詞変えたあの歌は時世をしっかり見てるなあと感心もした。ただ見ている、見ているひとはいる。素晴らしい

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Nov 9, 2025 at 1:07

痛恨の日程勘違いでみっつめの夜に行けないのが悔やまれる〜全3回なのに! アッキーも皆も元気でいて〜!

P-VINEから出たアルバム3枚をリリース順にライヴでほぼ再現+αシリーズ。『Whydunit?』再現の『ひとつめの夜』に続き、『typical affair』再現。チケ完売! 満員! 普段は段差があって見やすいWWW、今回は段差に勝る高身長が前に群がっててあんま視界ない! なんとか隙間から拝見。音は最高。

『typical affair』は行くとこ迄行ったというか、情景描写これ極まれりといった感で茶化す隙すらない作品でした。「ゴムまり」が顕著。リリース時、それ迄面白がってたひとがサーッと引いていった。ここでふるいがかかった印象があります。有り得る現実をいかに虚構(=物語)として聴かせるか。アッキーとシナヤンの徹底したリサーチ力と突き放した表現手法が冴え渡っており、安全圏にいると呑気に思っていたリスナーを屠殺場に引きずり出すような作品です。聴く側も無傷ではいられない。

しかし「ただ見ている、ただただ見ている」「見ているひとは必ずどこかにいる(=あなたはひとりではない)」というポリシーは徹頭徹尾貫かれており、見事としかいいようがない。嘲笑でもない、冷笑でもない。改めてその詩作の技と着眼点に唸りっぱなしであった。今更いうことではないかも知れないが「あたしだけにかけて」の生死と精子、賭けてと掛けてのダブルミーニングなんて鋭いにも程が……もはや凄みすら感じる。と、真面目に書いてしまう。冒頭のツイートに書いた「歌詞変えたあの歌」は「ピロートークタガログ語」→「ピロートークニッポン語」。フィリピンの、というMCからつい数日前に明らかになった陰惨な事件を思い出し身構えるがそのことではなく、今や立場が逆になっている現在を的確に更新する。

で、ここ迄残った(?)リスナーも真摯なもので、「ゴムまり」で悪ふざけするひとはいない訳ですよ。皆が聴き入り、フロアが静まり返る。アッキーの表現力/ストーリーテラーっぷりに恐れ入る。よっ、千両役者。表現力といえば「セカンドのラブ」の中森明菜式歌唱が素晴らしく、聴き取れるギリギリのウィスパーっぷりが最高でした。ストーリーテラーとしては「ゆびきり」が秀逸。てか今回MCが冴えまくっていて、元カノとの思い出が次の曲紹介へと美しく(?)着地するという芸当も見せてくれました。終わったあと「うまい! と膝打ちそうになった」「落語か」「どこ迄がホントなのか」「息をするようにホラを吹くから」という話で盛り上がる。そのスジの方の黒田さん、実在するのかしら……。「SO-SO-I-DE」も聴けてうれしかった! あらゆる属性を隠さない、透明にしないコール&レスポンスにも胸がすく思い。

ホーンには『1996年の面影ラッキーホール』から再登場、中島カオリさんがいました。tsとfl。『ひとつめの夜』から参加のkey・伊藤隆博さんも、アッキー曰く「やめてません!」。よかったよかった。アッキーてなんだかんだいうても気遣いのひとですよね、というか意外と(失礼)ちゃんとした社会人。カオリさんがソロのときフロアを煽ったり、所属してたバンドを紹介したりさ。ゲストにもちゃんとリスペクトがある。

オーラスは恒例「東京(じゃ)ナイトクラブ(は)」。何度聴いても涙が出る。これも情景描写極まれりなんだけど、クラブシーンの刹那と愛情が詰まっている曲のように思える。そんなこといってもアッキーは「見たままとリサーチで書いただけ」っていいそうだけどね。3回のシリーズライヴが終わっても、ときどきライヴやってくれたらうれしいです! また会いたい!

フロントアクトは町あかりさん。バックトラックに合わせテクノ昭和歌謡を唄う達者な芸風で素敵。「12年前にも呼んでいただいて」と話しており、うーん観たっけか、どうだっけ……と思っていたのだが(すみません)、終盤「では『コテンパン』という曲を……」といわれてあ゛ーーーッとなる。こてんぱーんの歌だ!!!!! この歌定期的に頭の中で回るんだよ、今でも! もはや誰の歌だか忘れていた! それ程強度のある曲なんだよ、キャッチーで美メロで! 曲だけが残る、ある意味すごいことだ。

ナイロン100°Cの「なのなのいつでも生乾き〜♪」もそうなんだよ、洗濯物が乾かない季節になると定期的に回る。犬子さん(まだ漢字表記だった)と峯村さんが唄ったんだけど、どの作品の劇中歌だったかもはや思い出せない。