金色の夢を、ずっと見てる

2009年06月17日(水) 高い給料もらってる分マジメにやれよと。

脳死関連法案の決議でなんやかんやと話題になってますが……ちょっと前に『長期脳死の子供を持つ親』がテレビでインタビューに答えてるのを見たんですよ。


その子は産まれてすぐからもう脳死状態だったんだそうです。通常は脳死になって数日のうちには心臓も止まってしまうので、その子もきっと数日の命だろうとお医者さんは言ったそうですが、結果的には1歳5ヶ月までそのまま生き続けたんだそうです。お母さんは
「ずっと眠ったままで目も開けなかったし声も聞けなかったけど、たった1年5ヶ月でも生きてくれて良かった」
というような事を言われてて。



『脳死は人の死か』っていう事がずっと問題としてあるんだけど、このご両親にとっては脳死状態のこの男の子は生きてたんだよね。そして私も、上で無意識に“生き続けた”って書いてる………呼吸器に繋がれて、目を覚ます事もないし回復もしない、機械を止めればそのまま心臓も止まってしまう。でも、このご両親にとっては確かに『生きて』いた。



私は、自分がもし脳死状態になったら、使える臓器は使っちゃって欲しいと思ってます。ドナーカードでもそう意思表示してる。本人に聞いた事はないけど、もし次郎君が同じ意思表示をしてて脳死状態になったら、臓器の提供に承諾すると思います。

でも、もし今ユウが事故か何かで脳死状態になって
「同じぐらいの子供で、重い病気で苦しんでる子がいます。臓器の提供を」
って頼まれたら……それを承諾できる自信はないです。


もちろん、まだ3歳だから本人の意思表示なんて無理だし、そもそも新しい法案でも『臓器の提供年齢を12歳に引き下げる』だから今そんな事があっても提供を依頼される事はないです。でも仮にその法案が通ってユウが12歳とか13歳の時に同じ事になっても、結局法は変わらなくて提供可能年齢は15歳のままでユウが15歳になってからそんな事になったとしても、やっぱり私は脳死状態の我が子を前にして
「どうぞ臓器を使ってください」
と言える自信はないのです。


自発的に呼吸をしていなくても、もう二度と目を覚ます事はなくても、それが機械の力であってもまだ心臓が動いていて温かい子供の体を前にして、親の意思でその鼓動を止めるという選択が果たしてできるのか。



何年も前に、私が
「ドナーカードを持とうと思う。ついては家族署名欄に署名して欲しい」
と母に頼んだ時に
「お母さんは自信がない」
と断った母の気持ちが、今なら判ります。





でもきっと、泣いて泣いて、どんなに待っても、どんなにお金をかけても、誰にお願いしてももうこの子は還ってこないのだと思えたら、承諾するような気はします。どう頑張っても取り戻せないのなら、せめて今まで生きた結果を何か残してあげたい、と思うんじゃないかと。



国会議員の人達も、多くは家族がいると思います。よく国会中継とかで大声で野次を飛ばしたり居眠りしてる姿が見られますが、どうか自分や自分の家族に置き換えて真剣に考えて審議して欲しいと思います。

今、病気を抱えている子の親だけじゃない。今は健康でもいつか病気になるかもしれないし、不測の事態で移植を求める状況になるかもしれない。逆に提供を依頼される側になるかもしれない。多分、子を持つ親の大多数にとって重要なことなんじゃないでしょうか。


 < 過去  INDEX  未来 >


咲良 [MAIL]

My追加