せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2002年01月17日(木) フライングステージ稽古

 稽古場に、友達のオノサカくんが遊びに来る。
 今週末にどこぞの「ワークショップオーディション」を受けるそうなんだけど、そのためにチェーホフの「かもめ」のセリフを覚えておくという課題があるのだそう。
 何をしてもいいこのごろの稽古場なので、彼の課題を一緒にやってみることにする。
 オノサカくんの課題のセリフは「かもめ」の1幕、トレープレフとソーリンのやりとり。
 というか、ほとんどトレープレフが一人でしゃべってる。
 有名な女優である母親のこと、母親が自分のことを嫌っているのだということ、それから、今の退廃した劇場のこと、自分がつくりだしたい新しい演劇のこと、そして、それでも、やっぱりまだ何者でもない自分のこと。
 その場でみんなに文庫本にして数ページにわたる場面を「できるだけ覚えてちょうだい」と言って渡す。
 僕は、だいたい入ってるかんじ。
 昔からずっと読んでた本だしね。一人で芝居の予定が何もないときとか、「いつか役に立つはず」と思って、練習してた長セリフだから。
 ていうか、ほんとは何かしないではいられなくて、がむしゃらに覚えてたんだよね。
 ほら、一人だと、セリフ覚えるくらいしか、できることってないじゃない?
 文庫本のセリフをワープロで打ち直して、何回か読んだら、「ま、だいじょうぶじゃない」ってなくらいにはなった。
 みんなで基礎トレをして、それから「かもめ」。
 チェーホフについて、「かもめ」についてレクチャーしてから、とりかかる。
 こないだまでやってた「エレクトラ」のような「論理の対立」じゃないセリフは妙に新鮮だ。
 一見、独白のようなセリフをどう「会話」にしていくか、2人組に分かれて練習してもらう。
 やっぱりなかなかうまくいかない。
 しゃべるのがせいいっぱいってかんじ。
 最後は、トレープレフのセリフを各自言ってもらったんだけど、時間が足りなかったな。
 これから、しばらく、このセリフの稽古もやっていこうと思う。
 オノサカくんは、稽古場でははじめてのおつきあいなんだけど、なかなかいいかんじ。
 いい声だしね。
 先週、今週とゲストがいる稽古場は微妙に緊張して、なかなかおもしろい。
 いつもやってるシアターゲームも、微妙にうまくいかなかったりして。
 その「うまくいかなさ」の理由がだんだん見えてきて、それがクリアされていく過程が、醍醐味ってかんじかな。
 今月いっぱいは、のんきにたらたらいろんなことをしておこうと思う。


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