せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2003年02月27日(木) 「Skip」稽古 タクシー

 稽古の前に、ぎりぎりまでパソコンに向かっていたのだけれど、えいっというような思いつきがなかなか出てこない。
 魅力的なキャラクターはそろったから、後は物語がどう動くかというところなんだけどね。
 様子を見に来てくれた、高市氏としばしおしゃべり。
 「どんなかんじなのよ?」と問われるままに答えていると、あらあら、どんどん話ができていったのでした。
 誘導尋問?というわけでもないんだけど、思いつくままにしゃべった物語と伏線と物語のオチは、「なんだ、これでOKじゃん」ってくらい、おもしろいお話になってました。
 これまでは、けっこう苦労しながら、パソコンに向かって、ああでもないこうでもないと悩んでたんですが、もうすっきりしました。
 あとはどうおもしろくしていくか、どう「だましていく工夫」をしていくか、それを考えていけばいい。
 新しい台本のページは持っていかずに、今日は稽古の日と決めて、そのくせ、すっかり遅刻の時間に出かける。
 渋谷から乗ったタクシーの運転手さんと「夜になって急に寒くなりましたね」というおしゃべりから、「秩父に行ったら、ロウバイと福寿草が満開でね」と話を振られ、「ロウバイっていいにおいですよね」と僕が答えたところから、妙に話が弾んでしまい、ずっとおしゃべり。
 田舎から出てきたその人は19まで、千住に住んでいて、その後祐天寺に越したら、あまりに環境が違うんでびっくりしたんだそう。隣同士のあいさつもないんでね。
 会社を興して、娘は結婚して外国へ、息子も独立してから、「もう働くのはいいや」と思って、会社を解散したんだって。知り合いがやってる会社に従業員をみんな世話して、あとは、「いつのまにか二種免許を持ってたので(昔ってそうだったのね)タクシーの運転手でもやるかと」思って運転手さんに。
 その頃は、「蛇崩」に住んでたんだそう。道すがら「ここ曲がったところですよ」と教えてくれる。
 年金もちゃんと入ってくるんで、週に二、三日だけのタクシー運転手さんなんだって。
 それでも、営業所のナンバー3以下になったことはないんで、「もう71になるんだけど、やめないでくれって言われるんですよ」だって。
 「西澄寺前の信号で……」と言うと、「西澄寺……、昔、ここでお灸すえたことあるな。仕事のしすぎで胃を悪くしたときにね」とまだおしゃべりは続くのでした。
 成績いいのわかる気がするわ。ほんと気持のいい人だった。
 降りるときに、つい「お元気で」と言ってしまったんでした。

 稽古は、冒頭の流れを、きっちり立ち稽古。
 よしおの剛ちゃんのキャラが、おもしろい。
 「ひまわり」に出てきた剛ちゃんは、マッチョっぽい、ある意味おもしろみのないお兄さんだったんだけど、今度の剛ちゃんは、むちゃくちゃ人間くさい。
 あ、「ひまわり」の剛ちゃんの堅さは、よしおのせいっていうよりも、作者の僕のせいです。

 初日まであと20日。


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