せきねしんいちの観劇&稽古日記
Diary INDEX|past|will
錦糸町の楽天地で「華氏911」を見る。 さすが映画の日だけど、平日なのに、こんなに混んでるんだなあとまずは驚く。 となりに座ってきた、金髪の外人な男の子、どんな反応するのかしらと時折気にしながら見ている。 映画は、とってもよくできてると思った。 ブッシュとサウジアラビアのつながりだとか、イラクへの攻撃がどれだけ貧困層の犠牲の上になりたった、富裕層のためのものであるかとか、報道される断片からはなかなかイメージできない全体像をくっきりと見せてくれる。 爆撃されるイラクのむごさ。映画館で見る、爆撃の絵が、CGじゃなくて、本物なんだということが、とってもおそろしい。 リーディングのためにいろいろ読んだこと、まさにそのものを目の当たりつきつけられた気がする。 マイケル・ムーアが「あなたの息子を戦場へ」と議員に迫るところ、ホットドッグかなんかを売る車を借りて、誰も読まずにサインした「愛国法」を読み上げるところなどなど、彼の理屈じゃない、だまっていられないんだという心意気とユーモアのセンスを感じる。 一番心に残ったのは、イラクの爆撃の映像と、泣き叫ぶ人々の姿。 いつもは、アクションやSF映画の爆撃の場面を見ても、その炎の下で死んでいく人々の苦しみを思ったことはなかった。 もしかしたら、僕たちは、超大作SFアクション映画のせいで、そんな気持を麻痺させられてしまっていたのかもしれない。 今、これを書きながらも、爆撃の映像と、人々の死というものが、ストレートにつながらないもどかしさをかんじる。 映画に登場していた兵士たちは、そのつながりを、自分から切り離すことで自分を保っている。そのつながりがあることにすら無意識な兵士達も紹介される。 どちらも悲しい。
|