せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2004年10月27日(水) 「約束」稽古

 朝、また地震。それからイラクでの拉致のニュース。
 また今日もざわざわした一日だ。

 「ヒトノカケラ」@新国立劇場
 出掛ける時間を間違えてばたばたする。武蔵野線、京浜東北、埼京線とのりついで、京王新線が送れていたおかげで開演にまにあう。
 開演前、篠原さんと憐さんとエントランスでご挨拶。
 憐さんに「太ったなあ」と言われる。そのとおり。
 三階建ての舞台、ピットを半分だけ使った、急傾斜の客席。
 スクリーンをうまくつかった、平面的な舞台。
 芝居は、最初どうなることかと思ったんだけど、やっぱり篠原さんの筆力にもっていかれたかんじ。
 それから、キムラ緑子さんの演技も。
 この理屈いっぱい、状況説明いっぱいのお話が、結局は、シンプルな愛情の物語に落とし込まれていく。
 フォスター里親制度の話、自殺しないために里親になっているという聡子の台詞。
 クローンだと知った息子が問いつめた結果、人格崩壊を起こしてしまった聡子が、息子に向かって父親の名を呼ぶ場面。
 何度も泣かされてしまう。
 コンタさんははまり役のような、違う人で見たかったような微妙なかんじ。
 橘ユキ子さんは、やりすぎることを要求されるこの役を、きっちり演じている。
 若林誠くんは、最初どうなることやらだったのだけれど、いつのまにか、いいんじゃないのと思えてくる。最後の場面のいたずら電話に対応しているところまで含めて、葛藤はするものの、変わらないというところに、「いい息子だねえ」という気がとってもしてきた。
 緑子さんは、実にいい芝居をしている。KKSという架空の病気の症状を体で表現するところが見事としか言えない。
 気持とうらはらな体というのに、僕は弱いのだと思うけれど、そのうちに気持が体からも離れていってしまう切なさまでもにじませていたと思う。
 終幕は、登場人物のハッピーバースデーで暗転。センチメンタルな音楽で終わらないところに演出のセンスが見えた。

 バスで渋谷、そして三茶へ。
 考えることがいっぱい。
 そして、台本に向かう。
 全然違うものをやっているんだという確信と、僕にしか書けないものを書くんだというプライドを取り戻そう。
 「ヒトノカケラ」は、篠原久美子にしか書けないものに間違いない。
 僕にしか書けないものは何だろう?

 稽古場に久し振りに早く入り、衣装の話。
 昨日の打ち直しをプリントアウト。
 さっこさんとさやかちゃんが来てくれて、稽古は小返し。
 りょうちゃんがいないので、できるところが少ない。
 流れているところをていねいに。
 で、時間まで。
 駅までの道、のぐと話す。「一週間前の稽古じゃないよね」
 たしかにね。もうしわけない。
 渋谷でさやかちゃんと別れ、早瀬君と新宿まで。
 ウェンディーズでお茶しながら、いろいろ話す。
 わからないところはどことたずねる。
 話しながら見えてくることがいっぱい。
 少し明るくなって別れる。
 北千住で勝田氏に電話。
 もろもろの連絡と相談。そして、励まされる。
 夜中、りょうちゃん、あきやん、にしやんにメール。
 よーし、やってやると決意新た。
 気持は前向き。

 >>>初日まで7日!


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