せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2009年03月07日(土) 小松川高校演劇部卒業公演「卒業したくないヤマアラシ達の遊び」

 母校小松川高校に演劇部の卒業公演を見に行く。
 いい天気。 今日から春、そんな陽気だ。
 総武線の中で本を読んでいて、うっかり乗り過ごし、新小岩まで。読んでいたのは、この間亡くなった中村又五郎さんのことを描いた池波正太郎の「又五郎の春秋」。
 開演時間ぎりぎりに到着すると、会場の視聴覚室の狭い舞台にイスやら掃除用具のロッカーやらが無造作に並べられている。
 明日に卒業式を控えた三年生が「卒業なんかしたくない!」と、校内にバリケードをつくって立てこもるお話。
 ありあわせのものでつくったバリケードが、「レミゼラブル」のようでよくできている。
 生徒会長とその友人たち、それから後輩たち。初めはわいわいおもしろがっている彼らが、一人減り二人減りというかんじで、いなくなっていく。
 棘で自分をよろっていたヤマアラシ=会長の針が一本ずつ抜けていく様子が、ハンガーで針を表しながら、立てこもっていた仲間達が一人ずついなくなる様子とシンクロさせた演出がかっこいい。
 なんで卒業したくないのかという理由より何より、卒業しないで、今のまんまみんなでわいわいこうやっていたいよね!という気持ちがまっすぐに伝わってくる。
 ここ数年の小松川高演劇部の公演の中では、かなりおもしろく、よくできていたと思う。
 何より、上手にやろうとかじゃない、その場を生き生きと生きるということを、全員が全うしていることに感動。
 脚本・演出はOBの麹くんこと酒寄拓くん。同期の也くんに、もっちゃんもスタッフとして手伝っている。それもまた暖かくていいなあと思う。
 終演後、教えてもらってびっくりしたのだけれど、今日は卒業式だったのだそうだ。
 そういえば、やけに校内が人でいっぱいだった。
 卒業式の後に、卒業公演って、すごいと思う。
 出演者が、みんな生き生きとしていたのはそのせいもあったかもしれない。
 終演後、OBのミチキヨくん、キミーちゃんから、彼らの同期の近況を聞く。
 そういえば、彼らの代は、卒業式の後、4月になってから卒業公演を企画したんだった。
 芝居の世界に飛び込んでいるメンバーが何人も。がんばれ!と思う。
 近くの区民館でOBと現役生との交流会があるというのを、仕事のため、お先に失礼する。
 卒業おめでとう! そして、素敵な舞台をありがとう。


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