初めて流れる着メロ。 比喩でも何でもなく、心臓が止まりそうだった。 まさか、かかってくるとは思わなかった。 ドキドキしっぱなしの、そんな4分未満の短い時間。 何てことない会話をして通話終了。
ねぇ、何の用だったの?
そんなコト訊けるはずもないけど。 少しだけ嬉しかった。 久し振りだけど、電話越しには初めて聴いた、声。
今度はあたしからかけてみようか。 嘘。そんな勇気まだ無いよ。
ねぇ、あなたはあたしからの着信音、待ってたりする?
駆け引きは苦手だ。 自分から動くのも苦手だ。 必要以上にマメで、世話好きな人がいい。 きっとそんな人がいい。 あの人は一体どっちなんだろう。
少しだけ期待している小狡い自分がいる。
***
着メロを個人指定にしていたのは、やっぱりあたしも何処かで いつかあのメロディが流れるのを期待していたからなんだろうか。
分からない。
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