夢三昧
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阿佐ヶ谷スパイダースPRESENTS『悪魔の唄』本多劇場 13:00開演G列/18:00開演A列
【キャスト】 山本壱朗(吉田鋼太郎) 山本愛子(伊勢志摩) 牧田サヤ(小島聖) 牧田眞(長塚圭史) 浅倉紀行(池田鉄洋) 鏡石二等兵(伊達暁) 平山上等兵(山内圭哉) 立花伍長(中山祐一朗)
作・演出 長塚圭史
バカバカしさと、有り得なさと、リアルさがごちゃまぜ。 なぜ、こんなものが書けるのか・・・・・。 ゾンビ、ゾンビって。B級ホラーって。いきなり戦争だし・・・・・。 「唄」って、悪魔の「唄」って、、、、、軍歌だし、国歌だし・・・・・。 どうして?そうなの?それでいいの?それはいいの?みたいな場面、描写、台詞多数(苦笑) それでも、息ピッタリ!(わたしと、、わたしとこの作品がってことです・爆) 結局、笑ったし、驚いたし、泣いたしで、とっても忙しかった。けど文句無し!☆ いや、ホントに、ゾンビが出てきてこんなに真面目に感動するとは思いませんでした。 ゾンビも悪くない・・・・・。 ただ凄く普通に思ったのは、長塚さんも若いのに、ずいぶんいろんな恋愛を(修羅場も?!)経験してきたのね・・・って、池鉄さんとまるで同じ意見です!!(笑) でなきゃ、書けないですよ、、これは・・・・・。
そんなこんなで、わたしは、メインテーマ的なところとは別かもしれない部分で、凄く胸を傷めていました。 泣く場面と違うところで、ずっと心が泣いていました。 壱朗が5年間妻を裏切っていたことで、妻愛子は気が狂っていました。 ズタズタに傷つき、妄想の恋人を作り、半狂乱状態でした。 わたしには、この二人のやり取りすべてが、苦しくて哀しくてたまりませんでした。
女は執念深い。そうなのです。 牧田サヤさんも、別の角度から執念深さをみせつけまくってくれましたが、というか、それが狙いの本ですけれど、わたしはすっかり愛子さんに感情移入しきってしまいました。 嗚呼、他人が冷静に観れば、壱朗さんをさすがに気の毒に思うのだな・・・とも思いました。 そんなに、そんなに、そんなに反省するなら、どうして裏切ったのでしょう。 多分、そんなこと考えろって圭史さんが言いたいわけじゃないと思うのに、あまりにリアルな吉田さんを観て、このままでは壱朗さんのほうが病んでしまう、壊れてしまうと、心配で心配で、許してあげたいという気持ちでいっぱいになりました。
でも、きっとわたしは許さない。 わたしが愛子でも、許さない、、、でしょう。 でも、5年間壱朗を奪っていた女のことも、気にかかる。 きっとその女も、5年間、悲惨だったのだから。 挙げ句、妻が狂ったら、捨てられたのだから・・・・・。
わたしは気は確かかもしれなくても、正常じゃない言葉を吐き、やっぱり彼を下品に責めるでしょう。 そんな時のわたしは、狂いきれなくても、狂っているのかも・・・と遠いところにある意識の中で思うのです。 そんなことを思う余裕があれば、絶対に狂うことは無いのかもしれませんが、相手を傷つける言葉を吐き続けるということは、多かれ少なかれ狂っているのです。 自己嫌悪に陥る余裕はもはや無い・・・・・。醜い生き物・・・。
それにしたって、吉田さんを、こんな風に使うなんて。 流石に圭史さんが怖いモノ知らずなのかと思いきや、吉田さんのほうが、それはそれは精神的にも肉体的にもキツかったに違いありません。 けど、吉田さんが壱朗を演じられたことで、ただでさえ奥深い圭史さんの本、いえこの舞台そのものが、更に深み、厚みを増し、幅も広がり、救いようのないラストにもかかわらず、心に染みわたるような温もりを感じさせてくれました。 正真正銘の大熱演です。ベテランの体当たり。 素晴らしくて、素晴らしくて、胸が痛くてたまらなかったけれど、、心が豊かになりました・・・・・。
ところがゾンビです(苦笑) そう、確かに苦笑いしてしまいました。3人(伊達さん、山内さん、中山さん)がゾンビだと知った時。 わたしにとって、ゾンビとは、「ふざけたもの」という認識でしか無かったもので。 そういう、妙な物体が出てくる舞台は、本来は好まないものですから。 でも、ゾンビたちは、あまりに憎めない、、、というよりは、よりによって兵士でしたから、もうビックリです。 戦争だって、太平洋戦争ですから。普通に考えても、ふざけるわけにはいかない題材です。 やはり、圭史さんはチャレンジャーでした。 結果的には、ご本人のおっしゃられているような『B級ホラー』というよりはむしろ『ファンタジー』で、ゾンビだって、愛しくこそ思えど、ふざけているなんてとんでもない!?(笑) 伊達さん、中山さんはいつも通りのキャラでしたが(そうは言っても中山さんはキーマン!)、山内さんにはすっかり泣かされてしまいました・・・。
しかし、なんだかんだ言って一番嬉しかったのは、池鉄さんの連続阿佐スパご出演。 最初キャストに名前が無くて、いつの間にか入っていて(笑) 実際、またしても新しい池鉄さんが観られることになり、大っっっ満足でした。 ネタバレしてしまうと、途中で紀行に牧田眞がノリウツルのです・・・・・。 現れた紀行の池鉄さんは、牧田眞役の圭史さんにそっくり。 ご本人はモノマネなんて言い方されてましたけど、あれはあきらかに圭史さんがノリウツッタ紀行でした。 池鉄さんは、ふざけた役も、情けない役も、エロエロの役も、最高にお似合いで大大大好きですが、普通の役や、真面目な役や、クールな役などになると、信じられないくらい立派な役者さんにみえるのです!(爆) 違います、みえるのではなくて、立派な本物の個性派演技派男前美肌俳優です! ・・・・・ダメですね、必死で褒めてもふざけているみたいにきこえますよね? とりあえず、今、わたしの3本の指に入る役者さんということで、みなさまどうかご理解のほどを・・・・・(苦笑)
長くなりましたので、最後にちょっとだけ女性陣について。 伊勢さんは、本当に本当に壮絶でしたが、素晴らしかったです。惚れました。 わたしが女優だったら、こんな女優さんになりたいです。 こんなふうに使われたいです。わたしはこっちだ、こっちの役だ・・・と思いました(苦笑) 絶対に、あんな演技は出来ないけど・・・・・。
小島さんは、不気味さが素晴らしかったです。 そして、やっぱりキレイでした。顔が小さくて、声も綺麗で、スタイルも素晴らしくて。 いろんな仕掛けの操作!?もうまかったに違いありません。 最前で観てもわからないトリックがありました。 ただふと、小島さんが愛子の役をやっても、面白いかも・・・と思いました。 小島さんなら出来ます。 それか、小島さんが壱朗の愛人の役でも面白かったかもしれません!! ストーリー変わりますけど(汗笑) あ、でもそれだと壱朗さんがよりいっそう苦しむことになるので、ダメですね。
そういえば、壱朗さんの喉が心配です。お身体も、ちょっと、心配です・・・・・。
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