死の門。 ここをくぐると出口は焼却炉の煙突のみ。門の前には「働けば自由になる。」の文字。 ここで1940年〜1945年までの5年間に約150万人が殺されたという。 まさに人類最大の負の遺産。 不思議な事に知る人ぞ知る俺の第六感もあんまり感じなかったな。流石に今日は頭が痛かったけどね。今も痛いや 感想、人間とは「矛盾。」だね。 人間は自分の状況を守るためには、人の命を奪える。 その紛れもない物証を見せられた気がした。 あの殺し方はね〜。 惨いという事はない、むしろ余りにもシステム化され過ぎ。 Aケ‐スの場合はCの殺し方、Bの場合はDみたいにマニュアル通りに殺している。 ここでは、寒いとか暑いとか感覚という物なんてないね。あるのは死の恐怖のみ。 人間とは、やれやれだ。
どんな映画の惨たらしさも現実の惨さには敵わない。 映画なんか所詮映画だ。映像にした瞬間に現実とは違った空間に変われる。 でも現実は人間の想像ができない事も、映像で表現でない事も起こりうる。 殺される為に並んでいる人。 死人の髪を削ぎとってそれを布にして売る。 その物証が至る所にある。 山積みにされた女性の髪が展示されてあったり、当時の独房が残っていたり、実験室や毒ガス室なんてものもある。 立ち牢は、50センチ四方の壁に4人〜6人を詰め込んで衰弱しさせたらしい。良く考えるねこんな事。 現実味が無いけど明らかに、まぎれもなく真実だろうね。 アウシュビッツから2キロくらい北へ歩くとビルケナフがある。 第二アウシュビッツと呼ばれている場所だ。 ここでも、数百万人が殺されたらしい。殺されるのが普通だった場所、時代。
普通なんていう価値観は幻想でしかない。あったとしても、自分の周りの数人にしか通用しない、いや皆同じだと思いこんでいるだけだ。 自分の普通を異常と思う人もいる。 今の平和な時代から見ればこの時代は異常、でも当時は殺し,殺されるのが普通。 そんな時代。
死の門を過ぎて2キロくらい歩いたところで線路の終点がある。 ここから死の門を眺めてみた。 空気は乾いていた。 風が強い。 だだっ広く草が生い茂ったこの大地は何人の血を吸ってきたんだろう。 さてと、このままここで旅を終わらせるには少々気分が悪いね。 些か人間の本質に近づきつつある気がするよ。 でも、このまま、負のイメージで帰るわけにもいかないな。 今まで物事の一面だけを見て全てを測る事はしてこなかったつもりだ。 色々な視点で物事はみなければいけないし、まして皆がそう言うから、教科書にこうか書いてあるからなんて事で物事を決めるような人間にはなりたくない。 そんなもの約にも立たないから。 大体21世紀、普通である事で得られるメリットなんて殆どない。物事は色んな面がある。表に出ているのは氷山の一角だ。 その一角で全ての事なんて解らない。物事を知るには自分自信が偏見を捨てて、1歩踏み込まないとね。 そんなわけで最終目的地サラエボに決定。危ないところだけど、俺の探求心が俺を動かしている。 行ってみようか。 サラエボへ。
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